EV-E301系
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 2014年登場。非電化区間における環境負荷の低減を目的に、クモヤE995形「スマート電池くん」で試験及び開発が行われていた蓄電池駆動方式の電車を営業用に実用化することとなり、烏山線に先行的に導入された車両がEV-E301系である。蓄電池駆動電車は、電化区間ではパンタグラフを上げて走行しつつ、回生制動により蓄電池に充電を行い(蓄電池の充電率が高い場合は通常の回生制動となり発生した電気は架線に戻される)、非電化区間では電化区間で充電した蓄電池に蓄えられた電力で走行し、更に回生制動で蓄電池に充電を行う。非電化区間を走行することが前提ではあるが、エンジンを一切搭載せず動力の全てを電力で賄うことから、分類の上でも「電車」に分けられる。形式の「EV」は、「Energy storage Vehicle」からとられている。車体はステンレス製で、総合車輌製作所が手掛けるステンレス車体「sustina」を、東急5050系に次いで採用している。車体は20m3扉で、袖は絞られておらず直線形状の車体となった。エクステリアデザインは「環境へのや さしさと蓄電池駆動電車」をモチーフとし、前面下部と側面の窓周辺に緑色の細い帯を多数配している。前面は非貫通構造で、前照灯はLED4灯となり上部に設置されているが、尾灯は窓下に配されている。また、行き先表示器は3色LEDとなっている。制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御方式を採用しているが、蓄電池駆動を行うために直流1500Vの架線電圧を直流630Vに変圧するDC-DCコンバータを備えており、これらDC-DCコンバータとVVVFインバーター制御装置は一体となっている。2両で1編成を組み、いずれも電動車となっているが、駆動用台車は車端部寄りの台車のみで、実質0.5M構成となっている。ハイブリッド気動車のHB-E300系同様車両には「クモハ」といった形式称号は付けられず、烏山方からEV-E301形、EV-E300形という構成になっているが、このうち後者にSIV・CPを備えている。車内はオールロングシートで、先代のキハ40形と同じくトイレは設けられていない。車端部は機器室が設けられており、機器室のない側は車椅子スペースにあてがわれている。烏山線内でワンマン運転を行うことから整理券発行機や運賃箱、液晶の運賃案内表示器等のワンマン運転機器を搭載している他、半自動扱い用の押しボタンも備える。また車端部には車内案内表示器とは別に液晶表示器が設けられており、蓄電池駆動の仕組みや蓄電池の状態等が表示される。車内の照明は全てLEDとなっており、消費電力の低減が図られている。EV-E301系は2014年3月のダイヤ改正で烏山線及び宇都宮〜宝積寺間で営業運転を開始し、あわせて公募により「ACCUM」という愛称がつけられた。同車導入に際しては烏山駅構内の一部に剛体架線が張られ、同駅停車中も急速充電が行えるように準備がなされている。前述のとおり「電車」に分類される車両のため運行番号も「電車」の扱いとなっており、非電化区間を有する路線では現在異彩を放つ存在と言える。営業用の蓄電池駆動電車は日本初の導入であり、この点が評価されて2015年にローレル賞を受賞している。当初は2両のみの陣容で、営業運転を行いながら実証試験がなされていたが、2017年に更に3編成が増備され、計8両の陣容となった。2017年3月のダイヤ改正でキハ40形を全て置き換え、以降は烏山線の全列車をEV-E301系が担うこととなった。

 2014,04,12 滝〜烏 山


■Variation
 部分的に架線が張られた烏山駅で停車中に急速充電を行う。烏山方のEV-E301形にシングルアームパンタグラフが2基搭載されており、宇都宮〜宝積寺間と烏山駅構内ではそれが上がる。尚、烏山駅構内における急速充電では流れる電流が通常よりも大きいことから、車両には架線の状態を識別する装置が取り付けられており、更にパンタグラフを上昇した状態で非電化区間に冒進することのないよう制御することも可能である。

 2014,04,12 烏 山
 2017年に製造された量産車。基本的に第1編成と同一仕様となっている。2017年3月のダイヤ改正を前に一斉に投入され、現在の烏山線は同系列の独擅場となっている。

 2017,06,24 宇都宮
2017/08/19