EF59形
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 連続急勾配が存在し交通の難所となっていた山陽本線の瀬野〜八本松間の上り線は、旅客・貨物列車の何れも通過時には補機を連結して走行を行っていた。従来この補機には蒸気機関車が使用されていたが、山陽本線電化の進捗に伴い電気機関車を配備することとなり、既存の電気機関車を改造し、同区間の補機として使用すべく準備された機関車がEF59形である。当時山陽本線の優等電車には151系や153系が使用されていたが、主電動機の出力から単独で同区間を超えるには難があり、これらでも補機の後押しを必要としたことから、最高速度引き上げに伴う歯車比の変更がなされた他、各種列車に併結すべくジャンパ栓も各種取り揃えた他、貨物列車では八本松駅で走行解放が行われることから東京方の連結器が換装された。また重連総括制御にも対応しており、下り線の回送時等は重連で走行した。また、最後尾になる下関方前面は、窓より下にV字型に黄色と黒のゼブラ塗装の警戒柄が入れられ、注意喚起向上に一役買った他、これにより印象が大きく変わっている。当初はEF53形から改造された19両が瀬野機関区に配置されたが、後に輸送力増強を目的にEF56形からも5両が改造され、総勢24両の陣容となった。当初より専ら瀬野〜八本松間を中心に広島〜西条間で使用され、長年に渡り同区間の「主」として活躍を続けた。1980年代に近づくと種車製造から40年以上が経ち、それによる老朽化が進んでいたが、同車置き換えを目的に新たに改造されたEF61形200番台が技術的問題から完全な置き換えには至らなかったことから国鉄末期までEF59形の活躍は続いた。最終的には新たに改造されたEF67形に置き換えられて1986年に運用を離脱したが、1両は保存を名目にJR西日本に継承され、その車籍は2006年まで存在していた。現在は碓氷峠鉄道文化むらに2両(うち1両は元のEF53形に改番の上保存)、EF56形から改造された1両がJR貨物広島車両所に完全な形で静態保存されている。

 2012,08,23 碓氷峠鉄道文化むら


■Variation
 東京方前面は通常他車と連結することから警戒塗装はなかったが、連結器やジャンパ栓等が多く厳めしい外観が特徴となっていた。

 2012,08,23 碓氷峠鉄道文化むら
 20号機以降はEF56形が種車となっている。元々EF56形は蒸気暖房装置を搭載した旅客用機関車で、EF59形の改造に際しては不要となることからその撤去が行われている。このうち23号機までの4両については1937年製の前期型グループから改造されている。同グループは丸みを帯びたデッキ付きの車体が特徴で、現在はこのグループで最後まで使用されていた21号機が静態保存されており、特徴的なフォルムを今に伝えている。

 2017,10,21 広島車両所
 EF53形改造のグループと同様、東京方については警戒帯が取り付けられていないため、ジャンパ栓等の相違はあるがEF56形時代を髣髴とさせる。なお、ラストナンバーとなる24号機のみ1940年製のEF56形後期グループからの改造となっているが、こちらは庇のない角ばった車体となっている。

 2017,10,21 広島車両所
2017/11/03