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ED15形は1924年以降に製造され、1926年にかけて導入された電気機関車である。当時は東海道線の電化が東京側から徐々に進んでいたが、当時導入されていた機関車は、欧米諸国からサンプル機として導入されていた機関車が複数在籍している状態であった。そのような中でこのED15形は、設計から製造に至るまで全て日立製作所によって行われおり、車体は水戸工場で製造された。日本の車両メーカーによる幹線向け電気機関車としては第一号といえる存在である。全長13m級のデッキなしの箱型車体であり、貫通扉横には梯子が取り付けられている。全体的に角ばった外観であり、当時の輸入期と比べて「無骨」と評されるスタイルとなった。また、他の輸入機とは異なり、本形式は従台車を持たず台車は全て動台車となっている。同機をモデルとした機関車は後に長野電鉄など、複数の私鉄にも導入されている。電装品も全て日立製作所(助川工場)で製造されているが、同時期の輸入機と遜色ない車両性能を誇った。なお、集電装置は当初不具合が多く、後に換装されている。同機関車は3両が製造されたが、1号機とそれ以外では内外装とも細部が異なっている。当初落成当初は1070形と称したが、1928年にED15形に改められている。当初は東海道線の客貨輸送に充当されたが、後に八王子機関区に移籍し、中央線の客貨輸送に使用された。1950年には他機同様機器更新が行われ、戦後に至るまで東海道線や中央線で使用されたが、老朽化により、1959年から翌年にかけて全車廃車された。廃車後は1号機が製造元である日立製作所の水戸工場に静態保存され、現在に至るまで同地で保存されている。黎明期の国産電機として貴重な存在であり、2011年には日本機械学会の機械遺産に指定されている。
2016,06,04 日立製作所水戸工場 |