E926形
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 従前、JR東日本管内の新幹線路線における電気・軌道検測は925形によって行われていたが、925形は200系開業前の1979年製造であり、製造から20年以上経過し老朽化が進行していたこと、後継車両の台頭で最高時速の向上が求められたこと、所謂「ミニ新幹線」の区間には乗り入れができなかったこと(同区間は専用のモーターカーを用いて検測を行っていた)等から、「ミニ新幹線」区間での走行にも対応した検測車両に置き換えることになり、その目的で2001年に製造された車両がE926形である。「ミニ新幹線」規格の路線での走行に対応すべく、当時増備が進んでいたE3系をベースとした車体となり、形状や寸法はE3系とほぼ同一となっている。このため、側扉にはステップが搭載されている。こちらは前照灯下部に検測用カメラ及び補助灯が搭載されている他、外装が白を基調とし、前面ライト周りが赤く塗装された他、側面に赤帯を配した姿となった。それまでの検測車が「ドクターイエロー」と称されていたのに対し、こちらは新たに「East i」という愛称がつけられ、以降製造されるE491系やキヤE193系も本車と類似した外装となり愛称も引き継がれることとなる。車両性能もE3系に準じ、最高時速は275km/hとなっており、落成当初は検測車両としては世界最速を誇っていた。北陸新幹線での検測も考慮されたことから周波数は50Hz、60Hzの双方に対応している他、碓氷峠等における急勾配対策で、電動車比率がE3系に比べて上がっている他、抑速ブレーキも備える。台車は軌道検測車両を除きE3系とほぼ同一のものを搭載している他、制御方式は同時期製造のE3系と同様、GTO-VVVFインバーター制御方式が採用されている。東北新幹線八戸延伸時から本格使用が開始されるデジタルATCやデジタル列車無線にも当初から対応している。本形式は6両で1編成を組んでおり、車両ごとに検測項目が異なっている。いずれも当時最新の検査機器を車内に搭載し、前述のとおり最高時速275km/hでの検測を行うことで、既存車両に比べて検査制度の向上及び効率化が図られている。925形では軌道検測は3台車方式により行われており、車長が短い点が特徴であったが、こちらは2台車方式となり、車長も他の車両と同一となっている。E926形は6両編成1本と軌道検測車の予備車1両(E926-13)の計7両が製造され、新幹線総合車両センターに配属された。軌道検測車はE2系の指定編成に連結することも可能で、本編成の検査時でも軌道検測が行えるようになっていたが、E2系の廃車が進み、営業用車両に検測装置を搭載する流れになったことで、予備検測車は2015年に廃車された。以降は基本編成6両が残り、製造から25年近く経過した現在に至っても日夜検測に従事している。また、新規路線の開通前にした初の走行試験を本形式が担う等、新幹線発展の歴史にも大いに役立ってきた車両でもある。JR東日本所有の新幹線車両の中で唯一、同社保有の新幹線路線及び直通可能な路線の全てでの走行が可能であり、新函館北斗から敦賀までという非常に広い区間の検測を行っている。なお、2024年の209系1000番台の引退により、JR東日本ではGTO-VVVFインバーター制御方式を採用する最後の車両となっている。

 2014,09,23 大 宮


2025/09/14