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2023年登場。経年を迎えつつあったE3系2000番台の置き換えと速度向上を目的に投入された山形新幹線用の車両である。先頭形状はE6系に続き「アローライン」と呼ばれる形状を継承しているが、元々E3系が7連を組んでおり、車長の関係からそれ以上の長さにすることができず、定員数確保などの理由もありノーズの長さが9mに短縮されている。本形式におけるデザインの監修はE6系に続いて奥山清行氏が行っている。外装は前面と側面上部を「おしどりパープル」、前面下部と側面を「蔵王ビアンコ」とし、間に「紅花イエロー」の帯を配しており、E3系のイメージを踏襲している。前照灯はE6系よりも更に外側に配されており、尾灯は前面窓の上部に配置されており、E3系やE6系とは異なる印象となっている。軸距はE6系と同様2500mmとなり、高速走行時の安定性を向上させたことでE3系以上の高速運転が可能となったが、山形新幹線に直通する車両は高速運転できる区間が限られていることもあり、費用対効果の観点から最高時速は300km/hとされている。前述の高速走行時の安定性に加え、高速走行時の乗り心地向上を図り、全車にフルアクティブサスペンションを搭載した。制御方式は既存の新幹線車両と同様IGBT-VVVFインバーター制御方式が採用されている。E6系と異なり車体傾斜装置は搭載されていないが、反面冬季における走行に考慮し、台車に着雪防止ヒーターを搭載しているのが特徴である。これは沿線に融雪設備を有する秋田新幹線向けの車両には搭載されていないものである。車内はE3系やE6系と同じくグリーン車と普通車の2クラス制で、いずれも2+2人掛けのリクライニングシートとなっている。グリーン車は「最上川と月山」をモチーフに、座席モケットを青緑系とし、フットレストやピローを備えている。床材はカーペット敷きで、最上川をイメージした波型のグラデーション模様となっている。普通車は「最上川と紅花」をモチーフとし、モケットは黄色から紅色へのグラデーションとした。床材はやはり最上川をイメージしたグラデーションが入っている。E8系では同時期に製造されている新幹線車両に併せ、普通車も含め全座席にコンセントが設置されている。E8系は2024年3月のダイヤ改正から「つばさ」として営業運転を開始した。その後も増備を続けており、2026年までにE3系を一掃する予定である。なお、当初の製造予定本数は17本であったが、その後の情勢変化等により7連15本の陣容に落ち着く予定となっている。
2024,07,07 高 畠 |