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量産先行車が2010年、2012年以降に量産車が登場。秋田新幹線の開業時から使用されていたE3系の経年による置き換えと、既に製造されていたE5系に合わせた車両高速化を実現するために開発された、秋田新幹線では2代目となる新幹線車両である。JR東日本では新幹線の車両高速化を見据えた新幹線車両として新在直通用のE955形を2006年に開発、試験を行っていたが、本形式はその試験結果がフィードバックされた量産車といえる。E5系と並び時速300km/h超の高速走行を行うため、空気抵抗を低減させるべく前頭部はE955形で取り入れられた「アローライン」と称される形状となっており、前頭部だけで13mもの長さを有する。この形状を採用したことで特に先頭車両の定員が減少するため、先代のE3系と編成定員を極力合わせるべく1両増結されており、本系列は7両編成となっている。トータルデザインは新幹線車両として初めて奥山清行氏によるものとなった。なまはげや竿灯等にも見られる赤色をアレンジした茜色と飛雲ホワイト、「アローシルバー」と称する銀色を組み合わせた外装で、秋田らしさに加え、「秋田の銀世界の雄大さ」「銀線細工(秋田の伝統工芸)のような繊細で丁寧なつくり」を表現している。前照灯はE5系と異なり、運転台の下部に縦に配置されている。制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御方式が採用されている。車両性能はE5系に準じ、軸距を2500oとE5系と同等にしていることもあって最高時速320km/hでの安定的な走行が可能である。また車体傾斜装置を搭載しており、最大1.5度車体を傾斜させることで、半径4000mのカーブでもトップスピードでの走行が可能である。騒音対策として床下機器類と台車を覆うカバーに吸音材が取り付けられている他、車体間の連結部は全周幌が採用されている。また乗り心地の向上のため全車にフルアクティブサスペンションを備えるが、別にセミアクティブサスペンションも備えており、冗長性が確保されている。前述のとおり本形式の軸距は2500oとなっているが、在来線区間での安定走行のため、一部のヨーダンパを可変構造とすることで、在来線区間の曲線部分においても横圧を軽減しており、新幹線区間、在来線区間の双方で安定的な走行の両立を実現した。車内はグリーン車と普通車の2クラス制が採用されている。グリーン車のシートピッチは1160oでレッグレスト・ピローのついた2+2人掛けのリクライニングシートとなっている。伝統工芸をモチーフにした色を採用しており、座席は川連漆器をイメージした茶色を基調としたモケットとなっている他、ピローは楯岡焼の青色をイメージした色になっている。グリーン車は全席にコンセントが設置されている。普通車はシートピッチ980oで2+2人掛けのリクライニングシートが展開するが、こちらは稲穂をイメージした黄金色のモケットとなっている。また床材にも稲穂のイラストが描かれている。座席はE5系と同様ピローがつけられたほか、窓側にはコンセントも設置される等、総じてE3系に比べてグレードアップしている。なお、車内案内表示器はE3系2000番台から続くフルカラーLEDかつ2段表示型のものが導入されている。E6系は2016年3月のダイヤ改正から「スーパーこまち」として運転を開始した。その後はE3系の置き換え進捗に伴い「こまち」にも充当され、2014年からは秋田新幹線の全列車が本形式に統一され、秋田新幹線の愛称も「こまち」に統一された。同時に最高時速が320km/hとなり、E5系共々国内の最速鉄道車両の座に君臨している。2014年には鉄道友の会のローレル賞も受賞しており、E5系と並び北東北におけるフラッグシップとして活躍が続いている。なお、「こまち」の他間合い運用として「はやぶさ」「やまびこ」「なすの」の各列車にも一部充当されている。なお、山形新幹線への入線は原則として行われないが、試運転での入線実績はある。
2013,07,14 大 宮 |