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量産先行車が2009年、翌年以降に量産車が登場。JR東日本では2010年末の東北新幹線新青森開業にあわせ、一部区間にて300km/h以上で走行すべく新幹線の更なる高速化を計画していた。その計画のもと制作されたE954系高速試験電車の試験結果を元に製造されたのがこのE5系である。アルミ合金製であるその車体は従来のE2系と変わらないが、こちらは上部に常盤グリーン、下部に飛雲ホワイトという配色となり、2色の間にピンクのラインが入るという従来の新幹線には見られない塗装が採用された。前面のデザインはE2系の面影を残しながらも、高速走行時における空気抵抗の低減を極力重視した設計となっており、ダブルカスプ形と呼ばれる形状を採用している。これによりノーズ部分が15mと既存車両に比べて非常に長くなっている。フルアクティブサスペンション、車体傾斜装置などN700系に見られる機構も採用されており、最高時速320km/hでの走行でも良好な乗り心地を提供できるようになっている。尚、E954系では360km/h運転を目指したものの、騒音などの観点から最高速度がそれよりも抑えられている。新幹線車両としては初めて、車内は3等級制が採用され、普通車・グリーン車に加えて最上級クラスである「グランクラス」が導入されている。いわば新幹線版ファーストクラスであり、定員はわずか18名。そしてアテンダントによるサービス等、グリーン車以上にサービス差別化が図られている。もっとも、従来の普通車・グリーン車ともピロー・コンセントの導入、シートピッチ拡大など従来車に比してグレードアップした内装となっている。E5系は2011年3月に「はやぶさ」として華々しく営業運転を開始するが、わずか1週間で東日本大震災の憂き目にあってしまった。それでも新幹線の復旧後は東北復興のシンボルとして君臨しており、着実に勢力を伸ばしながら東北新幹線のエースとして活躍している。また、2016年からは北海道新幹線にも乗り入れており、同線においても最も本数が多いことから主力車両として活躍している。尚、E3系と併結する列車も存在するが、E3系と連結する際は起動加速度をE3系に自動的に合わせられるようになっている。営業運転時の最高時速は当初300km/hであったが、2013年から単独使用の「はやぶさ」で320km/h運転、2014年からはE6系を併結した場合でも320km/hでの営業運転が行われるようになり、日本国内における最速列車の座に輝いた。速達化と快適性の両立を図り、日本最速の鉄道車両として評価されたことから、2012年には鉄道友の会のブルーリボン賞を受賞している。E5系は新幹線延伸時の輸送力増強の他、E2系の置き換えを目的として断続的に増備が進んでおり、2025年初頭の時点では10連51本の陣容となり、東北新幹線系統では最も多い形式に成長した。なお、車内のコンセントは普通車では窓側にのみ設置されていたが、2015年以降の新造車は全席に設置されている。
2012,08,02 大 宮 |