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2021年登場。キハ40系列等の既存の気動車の将来的な置き換えを視野に入れ、技術の検証と電車・気動車の更なる機器共通化を図る目的で製造された電気式気動車である。前述の目的で、試作車1両が川崎車両で製造された。車体は軽量ステンレス製で、前頭部は衝撃吸収構造を導入し、227系等と共通の意匠となっているが、こちらは袖が絞られていないストレート車体となっている。行き先表示はフルカラーLEDが採用されている。側扉は片開式で、ワンマン運転を考慮して乗務員室背後に設置されている。中国地域色されている黄色の帯を窓下と前面に配し、窓周りにこげ茶色の帯を巻き、機器室の部分には音符を模したロゴマークがあしらわれている。本車両は電気式気動車で、エンジンで発電した電力を主変換装置で制御しモーターを回す仕組みとなっている。本形式は単なる電気式気動車ではなく、屋根上に蓄電池を搭載することも可能で、その場合は制動に際して生じる回生ブレーキを蓄電池に搭載し、それを走行する際の電力として用いるハイブリッド方式となる。主変換装置以降の動力機関は電車に合わせられており、機器を共通化することでイニシャルコスト削減等が図られている。主変換装置におけるインバーターにはIGBT-VVVFインバーターが採用されている他、主電動機は全閉式の三相かご型誘導電動機となっている。電気で走る特性から運転台は225系に準じており、ツーハンドルマスコンとなっている。運転台右側にはモニタ装置とワンマン運転用のカメラモニターを搭載する。なお、JR西日本の電車で導入されている0.5M方式は本形式にも採用されており、片側は付随台車となっている。制動は電気指令式で、寒冷地での走行も考慮し、耐雪ブレーキも備えている。車内は1+2人掛けの転換クロスシートとなっている。シートモケットは225系と同等の茶系のものである。車端部には車椅子スペースと車椅子対応の大型洋式トイレも設けられたが、既存のホームに対応する関係でフルフラットではなく乗降口には1段ステップがある。なお、主変換装置を室内に搭載しているため、その部分はデッドスペースとなっている。車内案内表示器は乗務員室後部にワンマン運転用の液晶表示器が設置されている他、側扉鴨居部にもスクロール型LED表示器が設けられている。将来的なワンマン運転にも対応しており、運賃箱等が搭載できるようスペースが用意されている。DEC700形は2021年7月に1両が落成し新山口に配置されたが、長い間技術検証などの各種試験に供されており、営業運転に就くことはなかった。落成から3年以上が経過した2024年9月以降、姫新線の臨時快速として初めて営業運転に投入されている。
2024,10,20 中国勝山 |