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DD14形は1960年に製造が開始された、国鉄では初となるロータリー式除雪用ディーゼル機関車である。それまで特に豪雪地帯の除雪は、ラッセル車が線路上の雪を線路脇にかき寄せ、それによりできた雪壁を「キマロキ編成」と称されるマックレー車、ロータリー車を組み合わせた除雪編成により遠方に投雪するという手法がとられていた。開発当初は画期的な除雪方法ではあったが、効率性は良い手法とは言えず、DD14形はこの作業を1台で賄う目的で開発されている。既に実用化されていた入換用機関車のDD13形をベースとしているが、ロータリーヘッドの稼働に用いる機構の構造上DD13形のようなセンターキャブ方式とすることはできず、アメリカの機関車等で見られるエンドキャブという運転台を片側に寄せた車体構造となった。エンジン、ラジエーターの位置が運転台と同じ高さになっていることもあり、箱型と形容できる独特な車体形状となった。ロータリーヘッド自体は着脱可能で、夏季などロータリーヘッドを使用しない時期は入換などでの使用ができるようになっていた(実際にはエンドキャブでは入換用途には難があり、殆ど用いられなかった)。エンジンはDD13形の後期型で採用されたエンジンと同等の出力500PSのエンジンが2基搭載されており、走行機関としてのみならず前述のとおりロータリーヘッドの駆動に用いることもでき、状況により走行用と除雪用の振り分けが可能となっている。所謂「特雪」など、特に排雪を必要とする場合は機関出力全てを除雪用に振り分けることもあるため、重連総括機構を備え他の機関車との総括制御にも対応している(実際は除雪使用時は機関出力全てを除雪に振り分け、補機を連結することが大半であった)。ロータリーヘッドは初期に製造された3両で複数パターンの除雪方式が試用され、最終的に作業速度は低いものの安定性が高いという評価を受けた「ロールバー式」と称される手法に統一されている。手法は統一されたがその後も雪壁を削り取るウィングや投雪方法等に改良が施された。DD14形はまず8両が製造された後、1966年からは減速機・台車を改良した300番台に移行し、最終的には1979年までに43両が製造された。国鉄分割民営化に際しては40両がJR北海道、JR東日本、JR西日本にそれぞれ引き継がれたが、本形式を使用していた路線の廃止や除雪用モーターカー等の台頭等により徐々にその姿を消し、2002年以降はJR東日本の車両のみ存続した。2008年にはロータリーヘッドを外して2両連結の状態で客車牽引を行うなどその存在感を示したが、その後も廃車が進み最終的には信越本線直江津〜黒姫間の除雪用途で残されていた2両が2010年代まで生き延びた。これらも2015年3月の経営移管に伴いお役御免となった。ただし現在もなお1両(DD14-310)が保留車扱いで秋田総合車両センターに留置されている。廃車された車両のうち4両が公式に静態保存されている他、1両が海を渡り台湾に譲渡され、標準軌に改軌のうえ台湾高速鉄路での牽引車に転用されている。
2014,06,27 小樽市総合博物館 |