キハ71系
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 1989年に運転を開始した観光特急「ゆふいんの森」の専用車両として、余剰となっていたキハ58系・キハ65形の機器類を流用し車体を新製した車両で、JR九州の特急型気動車では初の新形式である。車体は普通鋼製で、全ての車両がハイデッカー構造となっている他、卵型に近い断面となっており側窓にも傾斜がつけられている。前面は曲面ガラスを用い丸みが強調された独特の形状で、塗装はモスグリーンのメタリック塗装を基調に金帯を巻いたものとなっており、前面・側面共に独自のエンブレムも取り付けられている。総じて他の車両にはない唯一無二のデザインとなり、「同車=ゆふいんの森」というイメージを定着させている。前述のとおり、落成当初は台車、エンジン、変速機を始めとした走行機器類をキハ58系・キハ65形から流用しており、特急型車両ではあるが最高速度は95km/hにとどまっている。車内はグリーン車のないモノクラス構成で、客室部分はリクライニングシートが960oピッチで展開する。モノクラス構成ではあるが床材には難燃木材を使用し、白熱灯を模した電球や金メッキ処理の施された荷棚や窓枠など、レトロ調ながら高級感のある内装に仕上がっている。加えてビュッフェコーナー(ただし調理設備はないため設置車の車両記号は「キハ」となる)やアートギャラリー(後述の1990年増備車に設置)などが設けられ、内装についても他の特急型車両とは一線を画すものとなった。キハ71系は当初3両が落成し、1989年3月のダイヤ改正から特急「ゆふいんの森」として営業運転を開始した。従来の特急型車両とは一線を画すこの車両は好評を博し、ほどなく中間車1両が増備されて1990年からは4両編成となった。その後も好調な「ゆふいんの森」は増発が行われるが、その際は同車の増備ではなく当初はキハ183系の転用、後に別形式となるキハ72系の新造で賄われたため、現在に至るまで本系列は4両のみの陣容となっている。基本的に博多から久大本線を経由して別府まで結ぶ「ゆふいんの森」に使用されるが、稀に他線区を走行することもあり、特に1993年には大阪駅まで乗り入れ車両展示が行われている。JR九州における観光特急のパイオニアともいうべき同車は2019年には登場から30年を迎えるが、3度にわたるリニューアル(3度目のリニューアルで、アートギャラリーはサロンコーナーに改造された)及び機器換装、2016年のセミアクティブダンパ追設などを経つつ、今なお第一線で使用されている。

 2018,12,31 別 府