キハ283系
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 試作車が1995年、量産車が1996年にそれぞれ登場。石勝線・根室本線南千歳〜釧路間の高速化事業に際し開発された特急型気動車である。既に特急「スーパー北斗」に投入されていたキハ281系をベースとしており、前頭部を除く鋼体は軽量ステンレス製、前頭部は鋼製で前面に貫通扉を設けた高運転台構造となっている。塗装もキハ281系に準じているが、こちらはタンチョウをイメージした赤色がアクセントとして用いられている他、前照灯が上部のみならず貫通扉横にも配置されている他、尾灯位置も変更されている。愛称表示器は製造当初からLEDとなっている。キハ281系に続き制御付き自然振子装置を搭載した振り子式気動車となっているが、本形式では更なる高速性能の向上が図られており、空調装置を床置きとすることで低重心化が図られている。また、台車はリンク式自己操舵機能を装備し、根室本線での急曲線においても安定した走行を可能としている。車体傾斜は最大6度となり、曲線通過時の高速化に寄与した。エンジンは出力355PSのものを各車とも2基搭載し、営業最高時速は130km/hとなっている。冬季の根室本線でも最高時速から600m以内に安定的に停止できるよう、JR総研と共同開発したマルチモードブレーキ制御システムや鋳鉄制輪子が導入されている。空調装置などのサービス電源は走行用機関と直結した油圧駆動式の交流ブラシレス発電機が採用されている。なお、キハ281系との併結も可能であり、その際の振り子傾斜は5度に抑えられる。車内は普通車が2+2人掛けのリクライニングシート(960oピッチ)、グリーン車が1+2人掛けのリクライニングシート(フットレスト、電動レッグレスト、可動式ピロー、オーディオサービス付帯、シートピッチ1145o)となっている。一部を除き普通車のモケットにはタンチョウのイラストが描かれていた。キハ283系は1997年3月のダイヤ改正から特急「スーパーおおぞら」として営業運転を開始した。本形式の投入により、札幌〜釧路間ではキハ183系と比べて実に40分強の大幅な時間短縮を実現した。1998年には「スーパー北斗」、2000年には「スーパーとかち」にも投入されるなど運用範囲が拡大し、更に2001年には札幌〜釧路間の特急が全て本形式に統一され、車両数も同年までに63両となった。なお、普通車の形式は当初トイレ付きがキハ283、トイレなしがキハ282となっていたが、車両増により2001年以降は運転台付きがキハ283形、中間車がキハ282形に改められた。なお、後者のうち一部は回送運転台が設置(2000番台)ないし準備工事(3000番台)されている。2006年からは指定席車両の座席の改座が開始され、「Uシート」と同等の座席に改められている。長らく道東方面の特急の主力車両として活躍した同形式だが、2011年の火災事故により6両が廃車され、その後安全性向上を目的に2013年以降最高速度の110km/hへの引き下げが行われた。その後2015年に試作車3両が廃車されたが、キハ261系1000番台の投入による本格的な置き換えが2020年から開始された。2022年3月のダイヤ改正までに全て運用を離脱し、25両を残して廃車されグリーン車キロ282形も全廃となった。残る車両は石北本線系統の特急「オホーツク」「大雪」に転用されることになり、2023年のダイヤ改正から運用復帰している。同列車では3連を基本とし多客時に増結する形をとっている他、振り子機能の使用を停止している。2025年には「大雪」が格下げされたため、現在は「オホーツク」でのみ運用されている。

 2014,03,09 札 幌


■Variation
 石北本線の特急「オホーツク」「大雪」に転用されたキハ283系。キハ261系に置き換えられて2022年3月のダイヤ改正で運用離脱したキハ283系だが、後期車を中心に一部が同列車に転用されることになり、翌2023年3月に運用復帰した。モノクラス3両を基本とした編成(多客時は最大5両まで増結)となり、先頭車には石北本線の沿線自治体をイメージしたラッピングが貼り付けられている。2025年3月のダイヤ改正以降は「大雪」の格下げのため、「オホーツク」2往復のみ充当されている。

 2025,10,24 岩見沢
2025/10/27