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2001年登場。老朽化したキハ181系の置き換えと、地元の出資により実現した山陰本線及び因美線の高速化に対応した車両として導入された、JR西日本が開発した初の特急型車両であり、製造に際しては鳥取県または島根県による援助がされている。同時期に製造された一般型気動車のキハ121・126系と同じく軽量ステンレス製だが、こちらは曲線区間を高速で走行できるよう制御付き振り子装置が採用されているため、重心が低くなっている他腰部が窄まった形状となっている。前面は切妻状で、連結を考慮し中間に貫通扉がついており、LED式の愛称表示器も設けられているが非常にシンプルな造形となっている。外装は日本海や宍道湖にあたる光をイメージし、警戒色を兼ねた黄色を前面の大半と側窓の上下に配し、窓周りに紺色を配したもので、端部には資金援助がなされた県の花(島根:牡丹、鳥取:二十世紀梨)が描かれている。前述したキハ121・126系と同様車両全般の制御・管理をデジタル化し、コンピュータで管理するTICSを初めて導入している。これにより車両の一元管理や電車との部品共通化が可能となり、イニシャルコストのみならずランニングコストの低減に寄与している。エンジンは出力450PSのものが1両につき2基搭載されており、最高時速120km/hでの高速運転が行える。900PSの高馬力と制御付き振り子、線形改良により、松江〜益田間では同じ最高速度であったキハ181系に比べ、最大約40分の時間短縮を実現している。車内は普通車のみのモノクラス制でグリーン車は連結されていない。683系と同等のリクライニングシートが970oピッチで展開する。床は茶色、照明は電球色となり、総じて暖色系のカラースキームとなっている点が特徴である。トイレは新山口方の1両(0・10・500番台)に設けられており、車椅子対応の大型トイレを備えている。トイレのない車両(1000・1010・1500番台)の端部には喫煙スペースが設けられていたが、全車禁煙化後はカウンター付きフリースペースとなっている。キハ187系はまずトイレを有す0番台・トイレのない1000番台が7両ずつ製造され、特急「スーパーおき」「スーパーくにびき」(後の「スーパーまつかぜ」)として2001年7月から営業運転を開始している。その後2003年に山陰本線鳥取〜米子間及び因美線鳥取〜智頭間の高速化が行われたのに際し仕様変更が行われた10・1010番台が2両ずつ、智頭急行線の走行対策としてATS-Pを搭載した500・1500番台が4両ずつ製造され、前者は既存の山陰本線特急の増発用、後者は特急「スーパーいなば」に投入された。なお、10・1010番台では空調装置の増強や騒音対策がなされ、500・1500番台では前述のとおりATS-Pを搭載したことで窓及び扉配置が異なっている。なお、製造所は0・1000番台が新潟鐵工所、それ以外は日本車輌で製造されている。2024年現在も陣容は変わっておらず、各特急列車に用いられている。なお、基本は2両で1編成を組むが、1両単位での増結も可能であり、多客時には3両以上連結した姿も見ることができる。
2018,06,16 宍 道 |