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2020年に登場した、JR四国の「ものがたり列車」の一つである。元々2017年の大政奉還150周年を記念した「志国高知 幕末維新博」という博覧会が2017年から2019年にかけて高知県全域で開かれており、それに合わせる形で高知〜窪川間に運行された観光トロッコ列車「志国高知 幕末維新号」を前身としている。キハ185形2両を種車とし、大規模な改造が施されており、窪川方が「KUROFUNE」、高知(高松・奈半利)方が「SORAFUNE」という名称がつけられた。改造に併せてグリーン車扱いとなり、形式がキロ185形に改められている他、車号が大政奉還と明治改元に因んだ1867、1868に改番されている。外装は「星空から日が昇り明るい青空になる情景を、幕末の志士たちが夢見た日本の夜明けになぞらえた」デザインとなり、「KUROFUNE」が黒基調、「SORAFUNE」が白基調となり、連結部を中心に空色を配している。愛称表示器のあった場所には「太陽」「船の舵」「組合い角(坂本竜馬の家計の家紋がモチーフ)」「時計」をモチーフとしたヘッドマークが取り付けられ、側面にも装飾等が施されている。元々キハ185系の側扉は2つだが、各車とも側扉の1つは埋め込まれている。インテリアデザインは「文明開化ロマンティシズム」で、SFの要素も取り入れた内装となっている。「KUROFUNE」はその名の通り黒船などの蒸気船をモチーフとして19世紀末の芸術を想起させるものとなっている。壁面は木目調となっている他、天井中央部は青空をイメージしたデザインとなった。「SORAFUNE」は宇宙空間までにもつながる未来への「夢」をコンセプトに、空想科学上の宇宙船をモチーフとした内装となっている。壁面は白色を基調とし、天井中央部は星空をイメージしたデザインとなった。本車の座席配置はいずれも可変テーブルの導入によって運行時期により異なっており、「高知家の団らんシート」と称される、中央のテーブルを境に対面するように着席するスタイルや1つのテーブルに4人で向かい合う着席スタイル、窓向きに配置するスタイル、窓向きかつ2人が向かい合うように配される座席を組み合わせている。チャーターで使用される際は、任意のレイアウトでの走行も可能である。いずれの車両も照明ポールや可変テーブルの支柱を機械の配管に見立て、「機械美に幻想性を重ね合わせ」たデザインとしている。なお、「SORAFUNE」の車端部には車販基地を兼ねたサービスカウンターとサニタリースペース(多目的トイレ、女性専用トイレ)が設けられている。本列車は2020年4月に営業運転を開始する予定であったが、当時の情勢から7月にずれ込んでいる。特急列車としての運行となっているが、これは現時点で特急の愛称名としては日本一長い。金土日及び祝祭日を中心に高知〜窪川間を1日1往復し、下り便が「立志の抄」、上り便が「開花の抄」と呼ばれる。この他2021年からは期間限定ながら土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線に乗り入れる形で高知〜奈半利間でも運転が開始され、こちらは奈半利行きが「煌海の抄」、高知行きが「雄飛の抄」と称される。
2025,10,04 朝 倉 |