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「あそぼーい!」は、2011年6月から豊肥本線を中心に運行しているJR九州の観光特急で、専用車となるキハ183系1000番台が充当されている。元々キハ183系は北海道向けに開発された特急型気動車で、本来九州には無縁の車両ではあるが、1988年に長崎オランダ村へのアクセス特急として観光特急「オランダ村特急」を運行するにあたり車両を新造した際に、車両性能等を当時製造されていたキハ183系550番台にあわせたため、同系列の派生番台と位置付けられた経緯を持つ。1989年までに4両が製造されたが以降の増備はなく、現在に至るまでJR九州のキハ183系はこれが全てである。車体は普通鋼製で、前頭部を除きキハ183系550番台に準じた構造となっているが、前面は運転台を上部に配した展望構造となっており、窓割の違いこそあれど、国鉄時代に改造されていた165系「パノラマエクスプレス」に類似している。登場当時の外装は所謂「トリコロールカラー」で、上部を赤、窓下を青、窓周りを白を基調として塗装されていた。最高時速120km/hでの走行が可能で、「オランダ村特急」として用いられていた当時は列車密度等の関係から鹿児島本線内では485系と併結しており、同車との協調運転が可能であった。車内は2+2人掛けのリクライニングシートを基調とし、一部にコンパートメント席も備えていた。「オランダ村特急」として使用されていた期間は比較的短く、特急「ハウステンボス」に置き換えられる形で1992年に列車自体が廃止されたため、その後はモスグリーンを基調とした外装に改められ、「ゆふいんの森U世」という愛称のもと久大本線に転用されて特急「ゆふいんの森」に充当されるようになった。これはキハ72形の登場で1999年に置き換えられ、その後は外装をオリジナルに近いトリコロールカラーに改めたうえで大村線の特急「シーボルト」に転用された。「シーボルト」は2003年には列車の設定自体がなくなったため、一旦保留車となった後に再度久大本線の特急に転じることになったが、今度は「ゆふいんの森」ではなく「ゆふDX」と専用の愛称がつけられ、外装も古代漆色を基調とした姿になった。この際セミコンパートメント席は撤去されフリースペースとなった。また機関更新も併せて行われている。2008年からは黄色基調の外装と変更されるも、2011年からは豊肥本線に転用されることになり、「あそぼーい!」に改造されて現在に至っている。「あそぼーい!」の外装は1両を除き白と黒を基調として中間に金色のラインが配されたもので、マスコットキャラクター「くろちゃん」のイラストやレタリングが随所に配されている。大分方3両目は「ファミリー専用車両」という位置づけで、白を基調に「くろちゃん」のイラストやレタリングが配されたデザインとなっている。この車両のみハイデッキ構造となり、座席が「白いくろちゃんシート」と称される転換クロスシートとなった。この座席は意図的に窓側の背ずりを低く、座面を小さくしており、足置きが設置される等、子供が座る前提となっている点が特徴で、親子で車窓を楽しめるよう特別に配慮された座席となっている。同じ号車には車端部にカフェカウンターや木のプール、読書スペース等が設置されており、長時間の乗車でも子供が飽きないよう工夫が凝らされている。その他の一般客室は概ね製造時からの座席を用いているが、モケット、床材、化粧板などは貼り替えられている他、展望席は固定クロスシートとなり一部にボックスタイプのセミコンパートメントが設置される等の変更点が生じている。前述のとおり2011年6月から「あそぼーい!」として運行されており、以降現在に至るまで一貫して「あそぼーい!」で使用されている。基本的には熊本〜宮地間で運行されるが、かつては別府まで乗り入れる運用があった他、熊本地震で豊肥本線が不通となった際は臨時列車として九州各地で運用されていた。
2013,03,17 立 野 |