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2022年登場。従来室蘭本線でワンマン運転を行っていたキハ143形の経年による置き換えと、同じく経年の進んでいた721系初期車の一部置き換えを目的に製造された車両である。本形式はJR北海道の電車で初めてワンマン運転に対応した車両として開発されており、1M1Tの2両編成を組むが、既存の電車と比べて機器類が増加していることに鑑み、軽量化を図るために車体は735系で試用された軽量アルミニウム合金を本格的に採用している。車体製作は日立製作所であり、同社の手掛ける「A-Train」の一車両となっている。前面は普通鋼製で、前面デザインはH100形に類似した前面貫通構造となっているが、灯具類が増設されている他行き先表示器はフルカラーLEDとなった。H100形とは異なり袖が絞られた形状となっている他、後退角を有している。車体側面は「さくらいろ」をイメージした淡いピンク色となり、「優しさ、親しみやすさ、明るさ」等を表している。なお、本形式では側窓の一部が開閉可能となっており、この構造は後の733系4000番台にも引き継がれている。制御方式はハイブリッドSiC-VVVFインバーター制御方式が採用されており、従来の車両よりも高効率となった他機器類も小型化されている。ブレーキは純電気ブレーキである他、制御車に遅れ込め制御を採用することで編成間のブレーキ力を均一化している。なお、駆動方式はWN方式となった他、歯車比も既存形式とは変更されている。最高時速は120km/hで、置き換えるキハ143形に比べて10km/h速くなっている。加減速性能の向上もあり、苫小牧〜東室蘭間では最大17分、滝川〜旭川間では最大14分もの所要時間短縮を実現している。なお、本形式は最長3本連結した6両での運転が可能となっているが、同一形式同士の連結に限られている(既存形式とは救援等での連結を想定)。車内はオールロングシートとなっており、既存車両に比べてかけ幅を拡大している。座席モケットは紫(優先席はオレンジ)を基調とし、北海道に咲く花々をイメージしたドットが散りばめられている。なお、車内灯は全てLED灯となっている。前述のとおりワンマン運転に対応しており、乗務員室背後に整理券発行機、運賃箱、運賃表を兼ねた車内案内表示器が全て設けられている。札幌・小樽方の制御車(クハ737形)車端部には車椅子対応トイレと車椅子スペースが設置されている他、編成の中間にはフリースペースが設置されている。なお、室蘭・旭川方の制御電動車(クモハ737形)の車端部は機器室となっており座席類は設置されていない。側扉は外装に合わせてピンク色となっている他、既存の電車で採用されていたエアカーテンは省略されている。また、床面高さはキハ143形と比べて19p低下しており、これにより乗降口はステップレスとなっている。737系は2023年5月からキハ143形の運用とH100形の一部運用を置き換える形で苫小牧〜室蘭間を中心とする運用で営業運転を開始した。出入庫の関係で、1往復のみ札幌駅まで営業運転を行っている。次いで2024年3月からは函館本線岩見沢〜旭川間でも営業運転を開始し、併せて同区間でワンマン運転を開始している。現在737系は2連13本の陣容で、いずれも札幌運転所に配置されている。
2025,10,24 岩見沢 |