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JR西日本では航空機への対策から、国鉄から継承した0系にアコモデーション改良を施した車両を山陽新幹線内の「ひかり」に投入し、それを「ウエストひかり」と称した。「ウエストひかり」は好評を博したが、0系が経年を迎えつつあると共に300系以降の新幹線とは車両性能の差が歴然であり、車両高速化は必至となっていた。そこで当時最新の700系をベースとした車両を山陽新幹線内の「ひかり」に投入することで0系を置き換えることとなり、この目的で1999年以降に製造された車両がこの700系7000番台である。車体自体は通常の700系に準拠しているが、こちらはグレーベースで窓周りがダークグレー、その下にサニーイエローの帯を巻いた、本番台独自のいで立ちとなっている。また側面の表示器は当初からLEDとなり、これは後に製造される700系B編成にも踏襲されることとなる。本番台はJR西日本の独自仕様車であることもあり、台車は500系と同等のものが採用されている。制御方式にはIGBT-VVVFインバーター制御方式が採用されており、最高時速は通常の700系と同じく285km/hである。車内はグリーン車のないモノクラス制だが、「ウエストひかり」と同様自由席と指定席で内装が異なっている。自由席車は2+3人掛けのリクライニングシートが1040oピッチで展開する。こちらは500系で用いられていた座席をベースにモケット色を変更したものが採用されている。指定席は同じシートピッチ1040oながらグリーン車並みの2+2人掛けリクライニングシートとなっており、「サルーンシート」と称されている。指定席車両の車端部は「オフィスシート」と称されPC作業などが可能なよう、大型テーブルとコンセントが供えられた。現在車内へのコンセント設置は新幹線や特急型車両では標準的な装備となっているが、その先駆けといえる設備となった。また上り方先頭車となる8号車の車端部には4人用個室が4室設けられており、こちらも普通車指定席料金で使用できる。一部車両のデッキには「旅指南」と称されるタッチパネル式の時刻表・観光案内表示器が設置され、プリントアウトも可能となっていた(2008年にサービス終了)。このように本番台においては他の新幹線車両には見られない、「ウエストひかり」の系譜を受け継ぐ多彩なサービスを備えた車両となっている。700系7000番台は2000年3月のダイヤ改正から営業運転を開始した。本番台が充当される「ひかり」は「ひかりレールスター」と区別され、登場時は山陽新幹線におけるフラッグシップとなった。2000年代は前述のとおり山陽新幹線における花形車両となっていたが、2011年3月の九州新幹線開業後は、従来の山陽新幹線内発着の「ひかり」が殆ど九州新幹線に直通する「さくら」に置き換わったため、九州新幹線への直通に対応しなかった本車は「こだま」主体へとコンバートされ、従来「こだま」に用いられていた100系等を置き換えていった。以降は山陽新幹線内の「こだま」と博多南線での運用が中心となっているが、わずかに残る「ひかり」への充当に際しては現在でも「ひかりレールスター」と称している。
2017,05,03 岡 山 |