50系くしろ湿原ノロッコ
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 JR北海道では、1987年に国立公園に指定された釧路湿原を低速で走行し、釧路湿原を堪能できる観光列車として、1989年より「くしろ湿原ノロッコ号」を1989年より運行させていた。当初は旧型客車に貨車改造のトロッコ車を組み合わせた編成で運用されていたが、1998年からは余剰となっていた51系客車を改造した専用車両により運行させることとなった。当初はトロッコ車2両と控車1両の3両で組成され、更にトロッコ車のうち1両は、終端駅での機関車機回しの廃止と運用効率化を図るため、釧路方に乗務員室・運転台を設け、機関車を遠隔制御することによる推進運転が可能となった。この制御車は「オクハテ510形」、それ以外のトロッコ車は「オハテフ510形」という形式がつけられたが、展望車を意味する車両記号「テ」は昭和30年代に途絶えて以降久しく採用例がなく、JR化後初めての採用であると共に、トロッコ車両につけられた点でも初の事例である。全車とも釧路湿原をイメージした緑色を基調とした塗装となり、窓下には木をイメージしたパネルが取り付けられた(後述のオハ510形のみパネルではなく同色の帯を配している)。制御車のオクハテ510形は運転台側の前面が貫通構造となっており、前照灯と尾灯は窓下に取り付けられている。窓周りは黒く塗装された他、屋根上には鐘が取り付けられている。制御車も含め、トロッコ車は既存の側窓、天井が撤去されており、大型の窓枠・ガラス窓が取り付けられた他、屋根は天板がむき出しとなっている。車内の座席は全て木製となり、片側は6人掛けボックス席(大型テーブル付き)、反対側は背ずりの向きが変えられるベンチシートとなっている。後発の「富良野・美瑛ノロッコ」車両とは異なり、側面と天板は緑色に塗装されている。控車はオハ510形という形式がつけられ、車端部にサービス電源用のディーゼル発電機が搭載され、その部分の窓は埋められたが、それ以外は比較的原型をとどめており、内装は種車時代のセミクロスシートのままであり、ロングシート付近には吊り革も備わっている。前述のとおり、当初は3両で運用されたが、好評を博したため1999年にはオハテフ510形が1両、更に2004年には快速「海峡」の運用を外れ余剰となっていたオハフ50形を改造したオハテフ500形が増結され、5連を組むようになった。オハテフ500形は唯一オハフ50形からの改造で、ディーゼル発電機を搭載するほか車椅子スペース、車椅子対応トイレも備える(一時期バイオトイレが試用されていた)。オハテフ510形は「富良野・美瑛ノロッコ」の増結に回されることもあったが、2018年に1両が正式に「富良野・美瑛ノロッコ」に転用されたため、現時点では4両で1編成を組むようになっている。「くしろ湿原ノロッコ」は、主に冬季を除き釧路〜塘路間で1日1ないし2往復運行され、川湯温泉まで延長運転されることもある。かつては冬季にも「流氷ノロッコ」として網走〜知床斜里間で運行されたが、2016年を最後に運転を取りやめている。

 2014,06,29 釧 路


■Variation
 展望仕様となっていないオハ510-1。端部にディーゼル発電機を備え、その部分の扉、窓は埋められているが、特徴的な二重窓を含め、それ以外は比較的種車の原型をとどめている。車内も然りで、50系客車の特徴であるセミクロスシートがそのまま展開している。このオハフ510形は「富良野・美瑛ノロッコ」には連結されていないため、本車両が唯一の存在となっている。

 2014,06,29 釧 路
2021/02/16