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山陰本線の下関口では、2007年より新下関〜仙崎間でキハ47形を改造した観光列車「みすゞ潮彩」が運行されてきた。同列車は仙崎出身で下関で作詞等の活動を行った金子みすゞに由来し、同じ山陰本線ながら直通列車の存在しなかった両区間を乗り換えなしで結んだ。同列車は定期列車の代替も兼ねたことから、自由席と指定席を1両ずつ繋いだ構成となっていた。指定席の内装は既存車と大きく変わり、基本的に海側を向いたソファシートとテーブルが展開し、車端部にはボックスシートと売店スペースを備えた。海側の座席は向きを90度変えることも可能で、海側の窓は大型の固定窓に換装されている。この姿のままで10年に渡り運用されたが、2017年に開かれる「幕末維新やまぐちデスティネーションキャンペーン」に際し、観光列車の運用区間を萩市の中心にある東萩間で延長の上、全席を指定席とした新たな観光列車を走らせることとした。これに際し、「みすゞ潮彩」で使用されてきたキハ47形を更に改造した車両を充当することになり、「〇〇のはなし」という愛称が新たにつけられた。記号である「〇」の文字を用いる列車名は非常に珍しいが、山陰本線にまつわる歴史、風土、文化など様々な「はなし」を表現しており、更に同列車の通る主要3地区の頭文字という意味合いもある。外装はアールデコ調が特徴だった「みすゞ潮彩」とは大きく変わっており、「西洋と日本、それぞれを繋ぐ海」をモチーフに、2両にまたがり赤色→青色→緑色とグラデーションするものとなった。また、各所に「夏みかん(萩市の花)」と「ハマユウ(下関市の花)」がかたどられている。赤→青のグラデーション塗装となっている車両が洋風車両で、「みすゞ潮彩」時代から指定席であった車両である。内装配置は概ね当時のままだがカラースキームが変わっている他、売店スペースの前は立ち席カウンターとなりボックスシートは撤去された。緑→青のグラデーション塗装となっている車両は和風車両で、さながら和室のような内装に変わった。座席は海側を向く座席と4人掛け・2人掛けのボックスシートとなり、足置き・荷物置きの部分には畳が使用されている。車端部はショーケースが置かれており、沿線の名産品等が展示されている。いずれの号車も一部を除き座席部分に電源コンセントが増設されており、電子機器等の充電を行うことができる。「〇〇のはなし」としては2017年8月に営業運転を開始し、新下関〜東萩間を1往復している。なお、「みすゞ潮彩」で終点だった仙崎には復路(新下関行き)のみ乗り入れる。
2017,10,22 長門市 |