キハ47形伊予灘ものがたり
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 「伊予灘ものがたり」は、伊予灘沿いを走り風光明媚な路線として知られる予讃線旧線を走行する観光列車として2014年に登場した。トロッコ列車以外ではJR四国初の観光特化型車両であり、以降シリーズ化する「ものがたり列車」の嚆矢となる存在である。運行開始時点の車両はキハ47形を改造したものだが、この車両は製造当初新潟に配置されていた500番台・1500番台各1両が種車となっており、一度2011年に除籍され、以降解体されずに長期間多度津工場に留置されていたものが復籍のうえ改造が施されるという、特異な経歴を持っている。前述のとおり500番台を種車としているため台車は空気バネ台車が搭載されている。改造に際しては前位側の扉が埋められ片側1か所となった他、海側の窓は固定窓に改められている。外装は宇和島方が夕陽をイメージした茜色、松山(高松)方が太陽とみかんをイメージした黄金色を基調としたものとなり、それぞれ「茜の章」「黄金の章」という名前がつけられた。本列車は車内での供食サービスを前提としていることから、車内はさながらレストランの様相を呈したものに大きく改造されている。海側は愛媛県産ヒノキを用いた大型のダイニングテーブルと窓向きのカウンター席を基調に、端部に4人掛け席を設けている。反対側はハイデッキ構造となり、大型テーブルを設けた2人掛け席となり、一部は畳に座椅子を置いたものとなっている。「茜の章」の車端部はサニタリースペースとなり、車椅子対応トイレや洗面所が新設されており、特に洗面所には砥部焼の洗面鉢が設置されている。「黄金の章」の車端部はダイニングカウンターとなり、コーヒーメーカーやビールサーバーも設置されている。また、空調吹き出し口がラインフローとなり、照明も間接照明となる等、天井部についても種車から大きく変わっている。「伊予灘ものがたり」では、午前便ではモーニング、夕方便ではデザート、アフタヌーンティー等、列車ごとに提供される料理が異なっており、それぞれ沿線ゆかりの食材等を用いた料理が提供される。なお、本車はグリーン車扱いとなり形式がキロ47形に改められているが、本車の竣工当時では、キハ40系としては初のグリーン車となっている。「伊予灘ものがたり」は2014年7月から営業運転を開始したが、本車を用いていた当時は快速列車という扱いであった。「伊予灘ものがたり」は四国における新たな観光列車として、乗車率が軒並み90%を超えるほどの高い人気を博したが、種車の経年により老朽化していた点、同列車以降に運転を開始した他の「ものがたり列車」が特急として運行された点もあり、2022年以降はキハ185系の改造車が新たに本列車に充当され、併せて種別も特急に格上げされることとなった。これにより本車は2021年12月を以て運用を退いた。翌2022年に京都鉄道博物館で展示された後、同年4月に廃車回送されている。

 2015,08,23 松 山


■Variation
 松山(高松)方のキロ47-1402号車は太陽やみかんをイメージした黄金色基調の姿になり、「黄金の章」という名前がつけられていた。外装だけでなく、座席クッションの色が異なる等の差異があった。

 2015,08,23 松 山
2025/09/27