383系
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 量産先行車が1994年、量産車が1996年に登場。運用開始から20年以上が経過し老朽化及び陳腐化した381系の置き換えを目的に開発された特急型車両である。車体は軽量ステンレス製(先頭部のみ普通鋼製)で、既に登場していたキハ85系と共通したデザインとなっている。先頭部の形状は2種類あり、基本編成の長野方が、先代381系のパノラマグリーン車を彷彿とさせる非貫通構造、それ以外は併結を前提とした貫通構造となっている。制御方式は、JR東海の在来線車両として初めてGTO-VVVFインバーター制御方式が採用された。回生ブレーキも併用するが、列車密度の低い区間でのを回生失効を防ぐため、発電ブレーキも搭載している。曲線通過時の速度向上を目的に、381系に次いで車体傾斜機構を搭載しているが、先代の381系が自然振り子式であったところ、曲線通過前後の揺れに伴う乗り心地の問題が指摘されており、こちらはコンピュータ制御による制御付き自然振り子方式の採用により、曲線通過時の安定化、乗り心地の向上に寄与している。また、振り子式車体傾斜機構とは別に曲線通過時の横圧低減・安定走行の確保を目的に、車軸が曲線通過時もレールに対して常に垂直となる機構を備えた自己操舵台車が日本で初めて本格的に採用されている。この台車は量産先行車と量産車で異なるものが搭載されていたが、後に量産車のものに統一されている。普通車、グリーン車とも2+2列配置となっているが、381系と比べてシートピッチが普通車で90o、グリーン車で40o拡大し、居住性の向上が図られている。シートモケットは普通車が緑系、グリーン車が青系で、総じて落ち着いた配色にまとめられている。座席間隔の拡大に伴い、普通席であっても跳ね上げ式のフットレストが備えられた。側窓は眺望性が考慮され高さ850oとなり、キハ85系の使用列車と同じく「ワイドビュー」という愛称がついた由来となっている。なお、各車両の車端部には荷物置きスペースが備わっている。前述のとおり量産先行車6両が1994年に落成し、各種試験の後1995年より臨時「しなの」に投入された。1996年には量産車が落成し、量産先行車を含め、6連の基本編成が9本、増結用となる4連が3本、2連が5本という計76両の陣容となり、全て神領電車区に配置された。1996年12月からは定期「しなの」の全列車が本系列に置き換えられ、以降中央西線及び篠ノ井線における花形車両として現在まで君臨している。1996年には鉄道友の会のローレル賞も受賞している。2016年3月のダイヤ改正までは大阪駅まで乗り入れる運用が存在した他、1997年10月から2003年9月までは夜行急行「ちくま」、1999年からの一時期は「セントラルライナー」にも用いられていた。現在は大阪駅乗り入れがなくなったことから、名古屋〜長野・白馬間の特急「しなの」及び中央西線の「ホームライナー」に使用されている。なお、原則として中央東線に乗り入れることはないが、臨時列車として小淵沢まで入線した実績はある。

 2013,08,14 長 野


■Variation
 長野方制御車のクロ383形0番台以外の先頭車両は貫通構造となっており、中央に両開き式のプラグドアを備えている。383系はクロ383形0番台を長野方先頭車に連結した基本6連の他、増結用として4連と2連の編成が存在し、これらを組み合わせることで最長10連での運用が可能となっている。なお、2連編成は単独運用はないが、4連編成については大糸線に乗り入れる臨時「しなの」等で単独走行を行う。

 2013,08,16 松 本
2021/01/09