315系
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 2021年登場。昭和末期〜平成初頭に製造された211系、213系、313系が経年を迎えつつあることから、その代替として製造された車両で、JR東海の通勤・近郊型電車としては、1999年の313系以来実に22年ぶりとなる新形式車両である。車体及び台車は日本車輌で製造されており、それまで日本車輌製の車両で特徴的であったブロック工法を更に改良した車体と、一体成型プレス鋼鈑の採用などにより安全性、保守性を向上させた日本車輌製の「NS台車」、更に営業運転を行いながら車体振動をモニタリングし車両や線路状態を監視するシステムを取り入れた日本車輌の新たなトータルブランド「N-QUALIS」を採用した最初の車両となっている。エクステリアデザインは「先進性×親近感」がコンセプトとなり、前面デザインは3面折り妻状としつつ、丸みも帯びて全体的に柔和な印象のものとなった。側面は窓部を中心にオレンジと白の帯が配されている。種別・行き先表示器は313系後期車から引き続きフルカラーLEDが採用されている。制御方式は、素子にハイブリッドSiCを用いたVVVFインバーター制御方式が、主電動機は全閉式の三相かご型誘導電機が採用され、既存の211系に比べて消費電力量が35%軽減されている他、静粛性向上にもつながっている。また、運転台はJR東海の在来線車両として初めてグラスコクピットが採用された。近年JR各社に導入が進む新型車両と同様、伝送方式はイーサネットが採用されて大容量の通信が可能となり、地上設備からのリアルタイムでの車両状態の監視、後述する有事への即応、運行情報の迅速な発信等を実現している。また、非常用蓄電器の搭載に対応し、万一の停電時でも走行、電力供給が行えるようになっている(ただし、初期に製造された7本は準備工事で、営業運転開始以降に本設)。車内は、現時点で製造されている車両は全て片持ち式のロングシートとなっている。化粧板、袖仕切りなどは白系で統一された他、床を青系の模様入りのものとし(優先席付近はオレンジ色)、中心から外側に向けて淡→濃となるグラデーションを取り入れることで、明るくかつ空間的な広がりが感じられるインテリアとしている。側窓はJR東海で初めて紫外線及び赤外線を99%カットできるガラスが採用されたが、反面遮光カーテンは廃されている。空調装置は国内の鉄道車両として初めて、AIによる自動学習、制御最適化機能を取り入れており、車内温度の情報も地上設備に伝送することでデータ蓄積を行い、それにより最適な車内環境となるよう自動的に制御を行う。車内案内表示器はJR東海の車両として初めて17インチの液晶表示器が各扉の鴨居部に1基設けられた。車椅子スペースは各車両の車端部に 設置された他、乗降扉付近の床をホーム側に傾斜させることで段差低減が図られた。車内セキュリティの向上策として、車内に防犯カメラを設置するのみならず、非常通報装置とも連動しており、乗務員室の他に地上設備にも撮影画像を瞬時に伝送することで、有事の際には複数個所においてリアルタイムで車内の状況が把握できるようになっている。また、本車はワンマン運転車両以外ではJR東海の普通車として初めて自動放送が搭載されている。315系はまず8連7本が製造され、2022年3月のダイヤ改正直前となる同月上旬より中央本線にて営業運転を開始した。今後は4両の編成も製造される予定で、中央本線の他、東海地区のJR各線への導入が計画されており、とりわけ中央本線名古屋口の普通・快速は将来的に全て本系列に統一される予定となっている。

 2022,05,18 鶴 舞


2022/05/29