305系
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 2014年登場。従来筑肥線と福岡市営地下鉄の乗り入れには、JR側では103系1500番台と303系が使用されていたが、前者は福岡市営地下鉄でのワンマン自動運転に対応せず、また故障も多発していたことから、この置き換えを目的に新型車両を導入することになり、日立製作所にて製造されたものである。車体は20m4扉で、日立製作所が手掛けるアルミ車体「A-train」を採用しているが、本形式も他のJR九州の車両同様に水戸岡鋭治氏がトータルデザインを行っており、「人にやさしく、環境にやさしいスマートトレイン」というコンセプトで設計されている。外観は既に製造されていた817系3000番台に準拠する点が多く、側面はパールホワイトを基調に塗装されており、前面は黒一色となっている他、灯具の配置や随所にレタリングが施されている点も類似している。なお、正面の貫通扉は正面左側に完全に寄せられている。制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御方式で、主電動機にはJR九州のみならずJRの営業車両として初めて永久磁石同期電動機が本格的に採用された。制動は回生制動併用の電気指令式ブレーキで、筑前前原以西で運転密度が低くなる筑肥線の路線特性を踏まえ、回生失効対策としてブレーキチョッパ装置が搭載され、回生が失効しても電気ブレーキを用いることができる。車内はオールロングシートで、817系2000番台に準じた形状の座席が採用され、扉付近の座席はヘッドレストが取り付けられた。ドーンデザイン研究所デザインの車両にみられるように座席モケットは10種類以上の柄があるほか、地下鉄直通車両としては非常に珍しく、唐津方先頭車の床はフローリングとなっている(それ以外の車両はQRコードを模した模様が入った床となっている)。扉鴨居部の車内案内表示器はJR九州で初めて液晶表示器が採用された他、車内照明は全てLEDとされた。また、車内保温等の対策で、JR九州の車両として初めて押しボタン操作による半自動扉開閉機構を備え(JR九州では『スマートドア』と称す)、筑前前原以西を中心に使用される。305系は2015年2月より営業運転を開始し、翌3月のダイヤ改正までに6連6本の陣容となり、地下鉄直通に用いられていた103系をすべて置き換えた。これにより、直通先の福岡市営地下鉄において全列車のワンマン自動運転化が実現した。303系と共に筑肥線における主力車両の一翼として活躍している。

 2016,11,14 下山門