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1996年登場。紀勢本線に在籍する381系の一部置き換えを目的に製造された特急型電車で、JR西日本では初となる振り子式電車である。車体は普通鋼製をベースにしつつ、塩害による腐食を防止するために一部ステンレスも採用されている。紀勢本線に投入されるために「海と太陽が大好きな列車」が車両コンセプトとなっており、とりわけグリーン車となっている非貫通型先頭車はイルカを思わせる前面スタイルが特徴となっている。尚、分割併合運用に対応するために貫通型の車両も造られている。制御方式にはJR西日本の特急型車両として初めてIGBT-VVVFインバータ制御方式が採用されていて静粛性に優れているほか、振り子機構に制御付き自然振り子式を採用したことで乗り心地も向上している。振り子車両なので低重心構造が取られているが、この一環としてJR西日本の車両としては初めてシングルアームパンタグラフが採用されている。車内は普通車が970mm、グリーン車が1160mmピッチでリクライニングシートが展開してある他に展望ラウンジも設けられており、この設備は後に285系にも採用されている。当初は伯備線など他線区への投入も計画されていたが、初期故障が多発したために断念され、汎用特急型車両の登場は2010年の287系まで待たれることとなった。結果、6連と3連がそれぞれ2本の18両が製造されたのみにとどまっている。2012年3月までは283系を使用した特急は「オーシャンアロー」として区別されていたが、287系が導入された改正で列車名が「くろしお」に統一されたことで現在は「くろしお」の一部列車で使用されており、引き続き紀勢本線のエースとして活躍している。
2009,03,14 和歌山 |