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2019年登場。2000系の置き換えを目的に導入された特急型気動車である。2000系の置き換えに際しては、2017年に空気バネ式の車体傾斜装置を備える2600系を製造し、ランニングコストの低減を見据えていたが、同車は土讃線で走行する際に空気容量が不足することが判明したため、4両を導入したところで量産は中止されることになった。本形式は車体傾斜装置を2000系と同じ制御付き自然振り子方式として、土讃線でも曲線通過性能を最大限に発揮できる点が特徴となっている。制御付き振り子装置を採用した車両はJR西日本のキハ187系以来18年ぶりとなる。車体デザインは2600系の「ネオジャポニズム」というコンセプトを踏襲し、「安らぎと先進性を合わせた」車両デザインとなっている。車体は軽量ステンレス製で、川崎重工が手掛けるステンレス製車体「efACE」が採用されている。2600系に類似したデザインとなっているが、前述のとおり振り子車両となったため、2600系よりも袖が絞られた形状となっている。外装は吉兆を現す赤と金を基調に、黄緑のラインが追加されている点が2600系との相違点となっている。エンジンは1500系や2600系と同じものを搭載しており、1両あたりの出力は900PSとなっており、最高時速は130km/hである。本形式は制御付き振り子装置を搭載しているが、2000系のコロ式とは異なり、ベアリングガイドレール・ベアリングブロックを介して車体傾斜を行うベアリングガイド式が採用されている。振り子装置の転動を抑制し、装置そのものの軽量化も図れる機構で、JR四国では8000系の試作車で採用された他、JR北海道等でも採用実績のある機構である。制御が作動しなかった場合も自然振り子が作用することで、常時最高時速での曲線通過を可能としている。車内は2600系に準じているが、普通車では足元広さの関係からフットレストは廃された他ピローも省略されており、反面枕部を柔らかくすることでクッション性を確保した。普通車のモケットは箇所により藍色と青色に分かれている。なお、シートピッチは980oを確保している。なお、2600系で採用された指定席表示灯は省略されている。また本形式は8600系と同様量産時にグリーン車も導入された。グリーン車は半室構造で、1+2人掛けのリクライニングシートが1160oピッチで展開する。こちらもピローは省略されているが、シートピッチの関係からフットレストや電動レッグレストが設置されている。デッキ部には全車に洋式トイレと荷物置き場がついている。車椅子スペースを有する2700形は車椅子対応、オストメイト対応の大型トイレを備える。またグリーン車合造の2800形には多目的室を備えている。2700系はまず量産先行車としてモノクラスの2連2本が落成し、主に土讃線で試験走行が行われた。3か月後には早くも量産が開始され、翌年8月までにJR所有車両としては39両が2020年までに製造された。更に直通先の土佐くろしお鉄道でも本形式と同じ形式(ただし車番が30番台に区別されている)が2両製造されたため、本形式は41両の陣容となった。投入は段階的に行われており、まず2019年8月に高徳線の特急「うずしお」に投入され、次いで翌9月には特急「南風」「しまんと」「あしずり」にも投入が開始され、ダイヤ改正の度に使用列車が増えていき、2021年3月のダイヤ改正から「南風」「しまんと」は原則本形式に統一された。2020年には鉄道友の会のローレル賞を受賞しており、JR四国の新たなフラッグシップとして今後の活躍に期待がかかる。
2023,12,31 多度津 |