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2017年登場。経年の進んだ2000系の置き換えを目的に製造された特急型気動車である。車体は前頭部が普通鋼製である以外は軽量ステンレス製であり、川崎重工が手掛けるステンレス製車体「efACE」が採用されている。車体デザインは「ネオジャポニズム」をコンセプトとし、「安らぎと先進性を合わせた」車両デザインとなっている。外装には吉兆を現す配色として赤と金の帯があしらわれている。前面は黒を基調とした所謂ブラックフェイスだが、8600系のように上部は極端な丸みを帯びているわけではなく、全体的に落ち着いたデザインに仕上がっている。正面は貫通構造で、複数編成を併結して走行することが配慮されている他、愛称表示器も備えている。側面の行き先表示器はフルカラーLEDとなった。本形式は先に投入されていた8600系と同様、空気バネを用いた車体傾斜方式を採用することで、ランニングコストを抑えつつ曲線通過時の速度を従来の振り子式車両と同等とすることが計画された。車体傾斜装置そのものの機構は8600系と同様で、マップ式(予め路線データをマイコンに登録し、自社の走行位置を割り出したうえ、曲線を通過する前から適切に傾斜する方式)とセンサー式(ジャイロセンサーを用いて曲線通過時に適切な角度に傾斜するよう制御する方式)を併用し、振り子式車両と同等の速度で曲線を通過することができる。エンジンは1500形と同じコマツ製のエンジンを搭載しているが、こちらは1両あたり2基搭載されており、2両時における総出力は1800PSにも及ぶ。これにより最高時速120km/hでの高速運転が行える。制動は電気指令式空気ブレーキで、特に土讃線での走行を考慮し、抑速ブレーキの他耐雪ブレーキや滑走防止機構も備えている。車内は8600系に準じており、回転式リクライニングシートが980oピッチで展開する。8600系同様フットレストや可動式ピローが取り付けられており、全座席にコンセントが設けられている。車両コンセプトに基づき、座席モケットは車両により濃淡臙脂色または濃淡藍色が採用されている。車内案内表示器は8600系と同じフルカラー段式のものが搭載されている。本形式独自の機能として、荷棚部分にランプが取り付けられ、点灯時は指定席として扱うという区別がついた。同一車両内に自由席と指定席の設定がある四国ならではの設備といえよう。各車ともデッキ部にトイレを有し、特に高松方の2600形には車椅子対応、ウォシュレット及びオストメイト対応の大型トイレが設けられている。2600系は量産先行車として2連2本が川崎重工で製造され、試験を行いつつ2017年8月から高徳線の臨時特急として営業運転に投入されることになった。試験走行を繰り返した結果、高徳線では問題なく走行できるものの、土讃線では空気バネ制御にかかる空気容量が不足することが分かったため、本形式は量産されず、2000系と同じ制御付き振り子装置を搭載した新形式2700系を投入して2000系を置き換える方針になったため、2600系は量産先行車のみの陣容で製造終了となった。本形式の定期運用は2017年12月から開始され、高松〜徳島間の特急「うずしお」の一部列車に用いられている。現在は特急「うずしお」のうち4往復の他、多客時に時折高松〜多度津間折り返しの特急「しまんと」「いしづち」に充当されることもある。
2023,12,31 高 松 |