デハ1形
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 1927年の出雲今市(現在の電鉄出雲市)〜一畑間の電化開業に合わせて日本車輌にて製造された自社発注車両であり、一畑電鉄としては初の電車である。全長16m級、片側3扉の半鋼製車両であり、通風機にはお椀型ベンチレーターが採用されている。後に登場するデハニ50形にも言えるが、同車は屋根がシングルルーフであるのに対し、内天井がダブルルーフ構造になっている点が特徴的である。また車内はオールロングシートとなっている。当初5両が製造された後、同時期に製造された制御車クハ101号車を1948年に電装化したことにより最盛期は6両の陣容となっていた。尚、1929年にデハ4号車が忌み番号を嫌ったことからデハ6号車に改められており、最盛期はデハ1〜3・5〜7号車という車号が振られていた。1951年に3両が2扉化・内装のセミクロスシート化によってデハ20形に改番され、デハ7号車も1962年に再び制御車両に改造されたことで、以降デハ1形としてはデハ3号車とデハ6号車の2両のみが残ることとなった。1978年に行われた大社線ワンマン化に際してはこの2両が対応車両に抜擢されており、これにあわせてテープ式放送装置や整理券発行装置、運賃箱の設置を始めとするワンマン化改造や側扉の自動化がなされている。以降デハ1形2両は大社線を中心に活躍することとなった。元西武鉄道の車両を含めた旧性能車の中では定期運用に充当されていた最後の存在であったが、5000系の導入によってついに営業運転を離脱し、1998年10月を以て70余年の活躍に幕を閉じた。廃車後は2両とも大社線高浜駅近くの「さとがた保育園」の前に静態保存されている。保存当初はクリーム地に青帯という当時の塗装のままで保存されていたが、後にデハニ50形と同じ塗装に塗り替えられた。後にデハ6号車は元の塗装に復元され、現在に至っている。

 2013,07,19 さとがた保育園前


■Variation
 出雲大社前方に保存されているデハ3号車。こちらは側扉がデハニ50形のものに近く、デハ6号車とは趣が若干異なる。

 2013,07,19 川 跡〜高 浜