570形
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 570形は、1971年に同年全廃となった神戸市電より500形の譲渡を受けたものである。神戸市電500形は1919年から1931年までに実に97両が製造されたボギー車で、元々は木造車と半鋼製車両が混在していたが、このうち神戸市電全廃まで残されていた車両は、半鋼製で製造された車両のうち1958年以降に外板張替え等の大規模な車体更新が施され、かつ1968年にワンマン化改造された17両(車両番号571〜592、このうち581・582・588・589は未更新のまま廃車、583は事故廃車)であり、この全車が広島電鉄に譲渡されている。元々ワンマン化対応していたこともあり譲渡に際しては殆ど改造は施されず、広告車を除き神戸市電時代と同じ塗装が堅持された(ただし一時期は、警戒色を兼ねて前面に黄色い菱形の模様が入れられた)。なお、神戸市電時代の欠番を埋めるため、一部車両は改番されている。全長13.5m級の車体は広島電鉄では大型で、単車の輸送力向上に寄与している。1980年代になると行き先表示器の大型化がなされ、次いで1983年には冷房化改造も施工されたが、冷房化は3両のみ施工されたにとどまり、非冷房の車両については1984年からは800形に置き換えられて廃車が始まった。非冷房車は1998年までに廃車され、1両がサンフランシスコに譲渡された。冷房化された3両は21世紀まで現役を貫いたが、587号車が2003年、584号車が2006年に廃車され、それ以降は582号車(広電移籍時に592号車から改番)のみの在籍となっている。582号車ははICカードリーダーの取り付けもなされ、2018年現在も現役で使用されている。基本的には平日朝ラッシュ時のみの運用となっているが、同車の車体形状が広告掲出に適していることから、特に選挙時には選挙広告車両として終日運用に就くこともある。なお、現存する582号車は1960年に車体更新されているが鋼体そのものは1924年製である。大正時代に製造された車両が今もなお日常的に使用されているというのは非常に稀有な例であり、また冷房車という観点では国内最古の車両となる。

 2018,11,26 広電本社前