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元々は1955年・1956年に製造された神戸市電の1150形で、1971年の路線廃止の後に広島電鉄に移籍したものである。1150形は元々間接自動制御・カルダン駆動方式・発電ブレーキを採用した高性能車で、所謂「和製PCCカー」の一つであった。ただし初期不良や運転取り扱いの相違等あり運用上に不具合が生じていたため、1964年に大阪市電の廃車発生品を流用して直接制御・釣り掛け駆動方式に改められている。車体は既に製造されていた1100形に準じているが、1100形とほぼ同等の車体を採用した1152号車1両を除き半流線型の形状が強調された他、全車とも側面窓おさえにHゴムを多用するなどより近代化されている。全8両が製造されたうち、ワンマン化改造があらかじめなされていた7両が広島電鉄に譲渡されており、当初は全車とも神戸市電時代の車号で使用が開始されたが、譲渡されなかった1155号車(当時の本山交通公園に静態保存)が欠番となっていたことから、車号を通し番号とするために1158号車が1155号車に改番されている。広島電鉄への譲渡時はほぼ神戸市電時代のままで営業運転を開始したが、1981年の方向幕大型化、1983年の冷房装置設置など、後天的な改造は適宜施され、他の車両と共に主力車両の一つとして活躍した。しかし1997年のプリペイドカード導入に際しては、カードリーダーの設置で乗降スペースが狭くなってしまったことから敬遠される要因となり、同時期に製造された他車が残る中で廃車対象となってしまい、1998年以降順次廃車されてしまい、1両のみの残存となった。現在残存している1156号車は姉妹都市であるドイツはハノーファー市電のデザインを模して、カラフルな塗装に動物のイラストが描かれたデザインとなっており、「ハノーバー電車」と呼ばれている。元々は1100形1105号車が纏っていたが2001年に事故廃車となったことにより同車が纏うことになったという経緯があり、以来15年間この姿を堅持している。往時とは異なる姿ではあるが、数少ない元神戸市電の車両として貴重な存在であり、千田車庫に所属に主にラッシュ時を中心に現在も運用されている。
2015,06,07 千田車庫 |