100形
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 1984年に国鉄と広島県の共同で実施された大型観光キャンペーン「SunSunひろしま」開催に際し、広島電鉄開業当時の車両を模して製作された観光型車両である。外板は普通鋼製となっているが、臙脂色に塗装している他800o間隔で筋彫を入れており、木造車体風のデザインに仕上がっている。また、外板のみならず車体はオープンデッキ構造となっており、ダブルルーフ屋根やダミーながら屋根上にダブルポールを備え(集電装置としてはZ形パンタグラフを採用している)、更に前面には棕櫚縄でを用いた救助網がとりつけられるなど、総じて開業当時の車両であるA形(前代100形)に極力近づけた外観となった。走行機器類は元々広島県立交通公園に静態保存されていた150形157号車のものが整備・流用されており、オリジナルの走行機器ではないものの2軸単車となっている。内装も往時の車両を極力再現しており、後述の仕切り扉をはじめ窓枠、鎧戸などは木造となっている。不燃化対策から天井部分はアルミデコラとなっているが、筋彫を入れた木目調となっており木造の部分との調和が図られている他、赤系の座席モケットや当時とおなじ籐を用いた吊り革の採用等、細部までこだわった内装ということができる。なお、オープンデッキ構造ではあるが、安全上の都合によりデッキ部と客室部分は自動扉で仕切られている(ただし開放しての走行も多い)。100形は1984年4月から営業運転を開始しており、モチーフとなったA形の製造時期から「大正電車」という愛称がつけられた。30余年経った現在も変わらず貴重な2軸単車として活躍している。イベント時の運行や貸し切り運行も行っているが、土休日には定期運行もなされており、かつては9系統(八丁堀〜白島)で運用されていたが、その後は4月〜6月・9月・10月の土休日に8系統(横川駅〜江波間)で雨天時を除き定期運行されていた。この運用は2018年夏季を以て終了し、以降はイベント時に活用されることとなった。

 2018,06,17 江 波