 |
2300系は2024年に登場した、9300系以来となる京都線系統の特急型車両である。「安心と快適、そして環境に配慮した新しい阪急スタイル」というコンセプトのもと開発された。車体は日立製作所製で、それまで製造されていた1300系と同様軽量アルミ合金製の車体となっている。デザインも概ね1300系を踏襲しているが、前面の窓ガラスに曲線を取り入れることで、疾走感を表現したデザインとなっている。また窓下の前照灯・尾灯の形状も変更されてより細型となり、より精悍な印象となった。9300系と同じく8両で1編成を組み、中間車にはかつての特急型車両である2800系と同一車番が付番された車両も存在する。制御方式はハイブリッドSiC-VVVFインバーター制御が採用されており、高効率化により消費電力量の削減が図られている。車両情報システムは1300系で採用されているものから更に発展し、力行・制動を含めた制御・モニタリングやサービス機器類の制御を一元的に管理し、車両情報をリアルタイムでクラウドサーバーに蓄積可能な「TCMS」と称されるものが採用されている。これにより、主幹制御器の無接点化がなされており保守性の向上、機器類の小型化が図られた。また同機構の採用により、運転台は阪急では初となるグラスコクピットとなった。一般車両の車内は9300系を踏襲し、扉間は転換クロスシート(扉付近のみ固定)、車端部はロングシートというセミクロスシートの構成となっている。ロングシート部分の袖仕切りは半透明のガラスが取り入れられ大型化された。優先席はモケットのみならずつり革の革部分も識別のためマゼンタ色となっている。車椅子スペースは既存車に比べ拡大され、腰当てや車椅子固定具も設置されている。更に阪急では初めて空気清浄機を搭載し、空調も阪急として初めて省エネルギー性能と静音性に優れたインバータ式空調装置が採用された。扉鴨居部には32インチハーフサイズの液晶車内案内表示器が千鳥配置されている他、反対側の鴨居部には防犯カメラが設置されている。また、本形式を象徴するサービスとして、4号車に連結される有料座席指定車「PRiVACE」が挙げられる。阪急初の有料座席サービスとなるこの車両は片側1扉かつ中間配置という特別車両で、車内は2+1人掛けのリクライニングシートが1050oピッチで展開し、色調こそ阪急伝統のものとなっているが、2人掛け席であってもパーテーションによる仕切りを取り入れる等、プライベート感に重きを置いた設計となっている。付帯設備もコンセント、インアームテーブル、読書灯等があり、更に1席につき1つ窓が設けられるなど、JRのグリーン車を凌ぐほど充実した内装となっている。この2300系は2024年7月に営業運転を開始し、同時に有料座席指定車「PRiVACE」のサービスも開始された(暫定的に「PRiVACE」のみ先行作成し、9300系にも連結してのサービス開始となった)。最終的には9300系と同本数が製造され、特急運用から外れる9300系を一般車に転用したうえ、玉突きで経年が進んだ車両を置き換える予定となっている。
2025,09,01 十 三 |