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2300系は1960年に登場した京都線用の通勤型車両である。同年に製造され「オートカー」と称された2000系の京都線仕様の車両である。車体は普通鋼製で、それまで製造されていた1300系に比べて直線基調の形状となり、車体そのものも軽量化されている。側扉は幅1300㎜の両開き扉となったが、マルーン一色の外装は引き継いでいる。本系列は2000系と同様、抵抗制御方式ではあるが、分巻界磁制御器による超多段制御を行い、それによる回生制動や定速度制御を可能としており、「オートカー」と称される車両の一車両となっている。京都線向けの車両は当初より直流600Vと1500Vの複電圧仕様である他、本形式以前から東洋電機製造の電装品を搭載し、本形式も御多分に漏れず同社製の機器を搭載している他、駆動方式も1300系と同じ中空軸平行カルダン駆動方式である。界磁制御器はトランジスタによりサーボモーターを制御し、サーボモーターで抵抗値を変えることで速度を維持しながら走行できる仕組みとなっている。当時の鉄道車両としては極めて先進的な機構であり、この点が特に評価されて1961年には2000系と共に鉄道友の会のローレル賞における栄えある第1号に選定された。車内はオールロングシートとなっており、マホガニー調の内装やオリーブ色のモケットなど、既存の阪急電車の特徴を引き継いでいるが、化粧板はより明るい色合いとなっている。2300系は当初2両編成のみが投入されたが、後に中間車も増備され1963年までに62両が製造された後、1966年から翌年にかけてマイナーチェンジが施された16両が増備され、78両の陣容となった。本形式は2000系と共通車体を有することから神宝線の昇圧後は同線での運用も可能であり、実際に1969年からの一時期は阪急全体における車両需給の観点から本形式が神戸線に充当されたこともあり、京都線の車両として唯一山陽電鉄まで乗り入れた実績を持つ。1979年からは冷房化が開始されるが、あわせて制御装置の後身が行われて界磁チョッパ制御方式に改められた（一部は電機子チョッパ制御方式の試験車となっている）。この際定速度制御機構は失われている。更に1986年からは一部の車両に対し尾灯・標識灯の移設と種別・方向幕の設置が行われ、6000系以降の阪急車に近い印象に変わっている。このような変遷を経つつ、長年に渡り第一線で使用されていた。廃車は2000年から始まったが、当初は編成替えで余剰となった車両の廃車が主であった。編成単位での廃車は2003年から始まり、2005年までに方向幕非設置車は全て運用を離脱した。方向幕を有した編成はそのまま残され引き続き京都線で用いられたが、製造から50年以上経過し老朽化も進んだことから、1300系（2代目）の増備により2015年1月まで運用を終了した。現在、最後まで車籍を有していたトップナンバーの先頭車2両が正雀工場に保存されている。動態保存を堅持しており、方向幕がない時代の阪急車両を今に伝える貴重な存在となっている。 2013,07,21 相 川 |
