アケチ1形
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 1985年の国鉄明智線転換に伴い開業した明知鉄道用の車両として、富士重工で製造された明知鉄道の初代車両であり、5両が製造された。当時富士重工が開発していた、バスの製造工法を応用しバス用の走行機関を用いた「LE-CarU」の一車両であり、全長15.5mのボギー車である。同時期に製造された樽見鉄道のハイモ230-300形とは同型で、貫通扉を有し丸型の前照灯・尾灯を窓下に配する等の共通点がある。塗装はクリーム色を基調に朱色の帯が入ったもので、前面と側面には、明知鉄道の頭文字「A」をかたどった部分がある。また同型式は「大正号」や「飯高観音号」など1両ごとに明知鉄道沿線に因んだ愛称がつけられていた。エンジンは前述のとおりバス用のものを使用し機関出力は230PSとなっているが、明知鉄道は路線中に急勾配を複数有することから2軸駆動方式が採用され、更に排気ブレーキや流体式リターダによる抑速制動も完備された。車内はセミクロスシートとなっているが、後年アケチ5号車のみロングシートに改められている。なお、このアケチ1形はボギー車のLE-CarUでは唯一冷房装置が搭載されていない。明知鉄道への転換時は同形式の5両体制でスタートし、更に1989年には増備車のアケチ6形を加え、これら6両が黎明期の明知鉄道を担った。しかしバス用車体故に早期に老朽化が進んだほか冷房装置を搭載していないこともあり、1997年以降に後継のアケチ10形が登場すると順次運用を離脱。1999年までに全車廃車となり、実働は最長14年と比較的短命となった。廃車後は全車明智駅等に分散して留置されていたが、明智駅留置の車両は後に解体され、現在は阿木駅・山岡駅構内に各1両ずつが保存されている。なお、増備車アケチ6形は倍の28年間稼働し2017年に現役を引退している。

 2018,10,08 山 岡