キハ28形
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 いすみ鉄道では2011年よりキハ52形を使用した観光急行を走らせていたが、急行の他に貸切運用も行う等その需要は高まっていた。また観光急行では一部座席を指定席としたことで、乗車人数の確保も喫緊の課題となっていた。そこで2012年、新たに国鉄型車両を導入することによって乗車人数を確保すると共に、キハ52形と併せたいすみ鉄道の新たな目玉車両とすることが計画された。それにより導入車両として白羽の矢が立ったのがキハ28形2346号車である。同車は2011年までJR高山本線の富山口で使用されていた車両であり、JRでは最後まで残った原形を残すキハ58系車両のうちの1両であった。またこの車両は製造間もない1964年の夏に千葉県内の各線で海水浴輸送に使用された実績もあり、その縁もあっての導入となった。譲渡に際しては、元々高岡鉄道部の地域塗装(ワインレッド地に白帯)であったものを国鉄時代の塗装に復元し、座席モケットも国鉄時代と同じ青色のものに変更する等、国鉄時代の姿へと近づける更新がなされている。ただし同車は通勤輸送を考慮して車端部ロングシートのセミクロスシートへと改造されており、その点はいすみ鉄道移籍後も変わらなかった。この他保安機器の整備などがなされている・同車は2012年に保管されていた金沢総合車両所から陸送されており、再整備の上で2013年3月から営業運転を開始した。基本的には同じエンジンを搭載しているキハ52形と連結して走行しており(こちら側が大原方に連結)、観光急行や各種団体列車を中心に使用されている。キハ52形と同様、日本の営業線上で稼働できる唯一の原形キハ58系列の1両となっており貴重な存在となっている。いすみ鉄道では、車内で食事が楽しめる「レストラン・キハ」に優先使用されるなど、沿線の資源開発に一役買った存在であったが、老朽化の更なる進行に伴い、惜しまれつつ2022年11月に定期運用を終了し、先駆けて2022年9月に「レストラン・キハ」の充当を終えている。その後もしばらくは貸切用途等で残されたが、2023年2月の団体臨時列車を最後に再度現役を引退した。本車の引退により本線走行可能な国鉄急行型気動車は、全てその姿を消すことになった。

 2013,08,03 上総東


2023/02/19