タム500形
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 津軽鉄道に在籍するタム500形は、1984年に国鉄タム500形のうち1両を譲受したものである。国鉄タム500形は1931年より凡そ30年という長きに渡り621両が製造された15t積みのガソリン輸送用2軸タンク車であり、このうち1956年に日本車輌で製造されたタム2928号車が津軽鉄道にわたっている。同車の導入の契機は1984年2月のダイヤ改正で五能線の貨物輸送が全廃となったことによる。従前津軽鉄道では津軽五所川原駅周辺の道路事情が悪いことから、車両の動力に用いる軽油の輸送に国鉄による貨物輸送を利用していた。この貨物輸送がなくなったことにより、代替として津軽飯詰駅構内より津軽五所川原駅へ自社線を用いて軽油を輸送することになり、本車の導入に至ったものである。貨車導入の経緯が貨物輸送の廃止という点で稀有な車両であるといえる。譲渡に際しては表記類の変更はされているが、基本的にそれ以外は基本的に国鉄時代の姿のままとなっている。しばらくは前述のとおり津軽飯詰〜津軽五所川原間での軽油輸送に従事したが、後に道路事情が改善され、津軽五所川原駅構内に直接タンクローリーが乗り入れ可能となると本車の役目は終了するが、その後は基本的に津軽五所川原駅構内に留置されながらもイベント等で時折機関車や気動車牽引で本線に出ることもあり、2010年代になっても検査が通されている。既に本来の用途では使用しなくなって久しいが、国鉄からJRに継承されたタム500形は2000年までに全廃されており、可動状態にある最後のタム500形であると共に、現存する2軸タンク車としても貴重な存在である。

 2019,01,15 津軽五所川原