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1986年に国鉄阿仁合線と角館線を引き継いで開業し、更に両線を繋ぐ新線を建設していた秋田内陸縦貫鉄道では、全線開業までキハ22形を借り入れたうえで営業運転に供することとした。しかし元々の車齢の高さに加え、日本有数の豪雪地帯を沿線に抱える同線にとってキハ22形では力不足であり、新型車両の導入が喫緊の課題となっていた。そこで全線開業を待たず新造車を導入することとなり、この経緯から1988年に製造された一般型車両がAN8800形である。尚、形式の「8800」は1988年に製造されたことに由来する。新潟鐵工所で製造された「NDC」と呼ばれる鉄道車両の一つであり、全長は18.5mと比較的大型となっている。また、寒冷多雪地帯を走行するため側扉は引き戸が採用されている。前面は他の第3セクター鉄道でも一般的な貫通型構造であるが、テールライトが角型1灯となっているのでより近代的なデザインとなっている。当初の塗装はアイボリーをベースに赤のラインが入ったもので、従来のキハ22形のものを踏襲していた(ただしキハ22形は、より黄色みを帯びたクリーム色がベースとなっていた)。車内はボックスシートを基調としたセミクロスシートであり、角館方にはトイレも設けられている。また、冷房装置も搭載されているのでキハ22形よりもサービスアップしているといえる。AN8800形は9両が製造されており、キハ22形を全て置き換えた上で翌年の全線開業を迎えている。2003年からはモケット更新等をはじめとした修繕が開始されており、同時に塗装が2両を除いて単色化されている(扉部分は白に塗装)が、どの車両も違う色となった点が特徴となっている。1両は原色を維持している他、AN8808がお座敷車両に改造されており、桜・紅葉をあしらったラッピングが施されている。AN8800形は営業運転開始から現在に至るまで普通列車主体に使用されているが、2012年のダイヤ改正からは有料急行「もりよし」にも原則的に使用されるようになり、主力車両としての活躍が続いている。
2013,09,16 角 館 |