1600型(名古屋市電)
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 1600型は1950年から製造された名古屋市電の半鋼製車両で、翌1951年までに76両が製造されている。同時期に製造されていた名古屋市電の車両と同様全長12m級の車体を有すが、こちらは特に閑散線区における輸送合理化を視野に、1列車あたりの乗務員低減が企図されたことから、長崎電気軌道の201形等にみられる前後扉配置を採用した点が特徴である。他の名古屋市電の車両に漏れず車内は一般的なロングシートとなっている。本形式の中でも、特に単線専用軌道の比率が高く比較的乗降客の少ない下之一色線や築地線で充当される下之一色電車運輸事務所に配置された車両については、更なる輸送合理化からワンマン運転が行われることになり、必要な改造を受けて1954年からワンマン運転を開始したが、これが国内の鉄道車両におけるワンマン運転の嚆矢となっている。ワンマン運転対応車両は赤帯が巻かれツーマン仕様車と差別化された(この他単線区間の多い同運輸事務所に配置された車両は続行運転を示す標識灯が正面左上に設置されており、これも外観上の特徴である)。このワンマン化は後に他線区にも波及したが、全車両がワンマン化改造されたわけではなく、1600形については32両が改造された時点で打ち止めとなっている。もともと名古屋市電は連接車を除いて3扉車が殆どを占めており、前後2扉であった本形式は異端的存在で、特に乗務員からは比較的扱いづらい存在であったとされる。市電縮小のあおりを受け、1971年以降ツーマン車から淘汰されていき、残存した車両も市電全廃を待たず1972年にはその姿を消している。一部の車両は名古屋市近隣の自治体に譲渡されており、特に1603号車が刈谷市交通児童遊園、1638号が春日井市交通児童遊園に静態保存された。後者は2009年に老朽化から解体されており、公的な保存車としては刈谷市交通児童遊園の1603号車が残存している。

 2025,02,09 刈谷市交通児童遊園


2025/02/25