8500系
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 2016年登場。老朽化の進んだ2000系の置き換えを目的とした特急型車両である。元は1990年に製造され、JR東海で特急「あさぎり」を中心に使用されていた371系であり、2012年3月のダイヤ改正で定期運用を運行を終了した後、波動用車両への転用を経て富士急行に譲渡されている。元々371系は2階建て車両2両を含む7両で1編成を組んでいたが、このうち平屋3両が改造種車となり、その他の車両は長野車両センターにて解体されている。「フジサン特急」として改造された8000系とは異なり、こちらはドーンデザイン研究所のデザインにより(内装工事は長崎船舶装備が担当)改造がなされ、「富士山ビュー特急」という「フジサン特急」とは異なるコンセプトの車両となっている。塗装は赤茶色が基調となり、ドーンデザイン研究所の他の車両にも見られるようなレタリングが随所に施されている。前面の愛称表示器は「富士山ビュー特急」の固定表示となり、側面の行き先表示器は埋められ、こちらも固定表示となった。集電装置は元々JR時代にシングルアームパンタグラフに換装されていたが、別のものに換装されている。また富士急行線の路線特性に合わせ、抵抗器容量の増加や耐雪ブレーキ、ドアレールヒーターの新設等の耐寒化改造もなされた。また、台車は種車のものを基本的に流用しているが(富士山方の先頭車のみ電装解除されており、同車のみ解体されたサロハ371形のものを流用)、先頭部分の台車には新たに排障器が取り付けられている。この8500系では指定席車両と自由席車両で等級が分けられており、8500系の車号は富士山方からクロ8551、モハ8601、クモハ8501とつけられている。クロ8551が指定席、その他の2両が自由席となっている。いずれも内装もドーンデザイン研究所の手により木材を多用し多彩なモケットを使用した内装に改められている。指定席車両は2人掛けと4人掛けのボックス席に円形テーブル・カウンター席を配置し、車端部には車販スペースとギャラリーが設けられた。この車両は土日の2往復を中心に「スイーツプラン」の対象となり、車内で特製スイーツが味わえるようになっている。自由席車両の座席は種車のものをベースにピローの設置等がなされた他、側窓には木枠が設置されている。サニタリースペースは2号車に設けられているが、既存の設備をいったん撤去の上、新たに車いす対応の大型トイレが設けられた。この他、車内の随所にドーンデザイン研究所のデザインしたイラストや美術作品が飾られており、一種の美術館としての様相も兼ねている。このようにJR時代の面影を残しつつ大掛かりな改造が施された8500系は2016年4月に営業運転を開始し、前述のとおり「富士山ビュー特急」として活躍している。なお、「あさぎり」で共に活躍したJ小田急電鉄の20000形も既に2014年に富士急行に譲渡されており、長年富士山の南側で顔を合わせていた車両が今度は富士山の北側で顔を合わせるようになっている。

 2016,10,09 下吉田



2016/10/10