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2270系は従来貴志川線で使用されていた1201形を置き換えるため、高野線の山岳区間を中心に使用されてきた22001系を種車に1995年に貴志川線向けに改造した車両で、貴志川線の車両としては初の冷房車である。22001系から改造された車両という点では本線系統の2200系等と変わらないが、2270系は貴志川線に特化した改造がなされているため、それらに比べて改造点が多くなっている。具体的には前面の非貫通化、貴志方の車両の電装解除、ワンマン運転対応に合わせた整理券発行機・運賃表示器等の設置及び前方扉の移設及び片開き扉化、側面方向幕の撤去等が挙げられる。また、当時の貴志川線が架線電圧が600Vであるのに対し工場入場時などで1500Vの南海本線等を走行できるよう、600Vと1500Vの複電圧仕様になっている点も特徴となっている。車内はロングシートで、車端部には車いすスペースも設けられた。2270系は2連6本の12両が用意され、同線に在籍していた在来車を全て一掃している。2006年に貴志川線の経営が和歌山電鐵へと移管した当時は、CIを変更しヘッドマークを新設した程度であり殆ど変っていなかったが、同年夏より内外装を大幅に変えて従来の鉄道車両に見られないユニークな内外装としたリニューアル車両が竣工し、2009年までに3本が竣工している。それぞれ「いちご電車」「おもちゃ電車」「たま電車」という愛称が付けられ、水戸岡鋭治氏のプロデュースによってそれぞれに独自性のあるリニューアルが施された。これらのリニューアル車は「乗る」楽しみに溢れており、同線の乗客を増やす一因となっている。現在も本数自体は変わっておらず、貴志川線の主力車両として活躍している。尚、従来600Vであった貴志川線の架線電圧は2012年2月に1500Vへと昇圧されたが、複電圧の仕様はそのまま存置されている。
2009,03,14 伊太祁曽 |