EDV形
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 2011年登場。輸送力増強を目的に川崎重工にて製造された機関車で、黒部峡谷鉄道の電気機関車としては18年ぶりの新造車両である。それまで製造されていたEDR形等と同様の箱型電気機関車で、車体形状や寸法もほぼ同一(車幅のみ本形式がやや狭い)となっているが、こちらは前照灯・尾灯が角型となり、側面はV字をかたどった白い帯が入れられている。本系列最大の特徴は制御方式にIGBT-VVVFインバーター制御方式を採用した点にあり、JR以外の電気機関車としては都営E5000形に次いで2例目の採用となった。形式の「V」はVVVFインバーター制御方式を採用した点に由来する。黒部峡谷鉄道の車両は通常の鉄道車両と比べ小型であることから、機器類の小型化を図るため、制御装置は補助電源装置を一体化・集約した「VVVF/SIV装置」と呼ばれる装置が採用された。制御系統は2系統化されており、故障時等における冗長性が確保された。主電動機は全閉式のかご型三相誘導電動機が採用されており、静粛性、メンテナンス性の向上等が図られている。制動は回生/発電ブレンディングブレーキが採用されており、黒部峡谷鉄道の機関車では初めて回生制動が実装された。通常は回生ブレーキを用いるが、下り勾配における抑速制動を全て発電ブレーキで賄うことも可能で、発電ブレーキ用のブレーキ抵抗器を屋根上に搭載する。なお、駆動方式は釣り掛け駆動方式で、ED形以外の電気機関車とは併結可能である。また集電装置は引き続きZ型パンタグラフが採用された。このEDV形は当初2両が製造され、各種試運転の後2012年6月より運用に入った。なお、車両番号はEDR形からの続番となっており、本形式は34番から車号が振られている。2019年にも更に2両が増備され、現在は4両の陣容となっている。既存の機関車に混じり主力車両の一翼として活躍が続く。

 2014,10,18 宇奈月