ケーブルカー
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 御岳ケーブルは、武蔵御嶽神社への参詣客輸送や御岳山及び周辺の山々への登山客輸送を目的に、1934年末に開業した路線である。山麓部にある滝本駅と山上の御岳山駅の間、凡そ1100mを結んでおり、両駅間の高低差は423.6m、最急勾配は47%となっている。路線開業時の会社名は現在と同じ御岳登山鉄道で、開業当初より前述の参詣客・登山客輸送にあたっていた。戦中期の他の鋼索線と同じく1944年から1951年まで休止していたが、休止期間中に一度大多摩開発観光と社名が変わっている。1961年に再び現社名に戻り、1972年には京王グループ傘下となって現在に至っている。開業から現在までに車両は2度変わっており、1968年と2008年にそれぞれ新型車両に置き換えられている。因みに同線のレールは戦後の再開時以降長きにわたり、ドイツはギーセライベルン製(スイスはフォン・ロール社製も含む)の28.5s楔形レールが使用されていた。頭面が逆台形状になっており、かつ幅が通常のレールに比べ小さい点が特徴で、現在では丹後海陸交通でのみ使用されている。1991年のレール交換に際し、前述の楔形レールを用いた1067o軌間から、通常の50sレールへと換装されているが、頭面の幅の違い及びケーブルカーの台車の特性(分岐器からみて外側が両フランジの溝車輪、内側がフランジレスの平車輪)もあり、換装されたレールは1049oという他では見られない軌間となっている。

 現在使用されている車両は前述のとおり3代目にあたり、2代目車両の老朽化に伴い2008年に系列の京王重機で製造されたものである。基本的な形状は2代目車両の面影を残しているが、こちらは先代車両に比べて全長がやや短くなり、乗車定員は20名ほど減少している。また、前照灯・尾灯は角形となり、窓下にケーシングされている。眺望性の向上が図られ、側窓はより大型化され、外吊り式の側扉も窓がより大型になっている。集電装置はシングルアームパンタグラフが上下に2基取り付けられているが、基本的には1基のみの使用で、2週に1回を目安に上昇させるパンタグラフを変更している。車内は一般的なクロスシートとなっている。蛍光灯は鴨居部に取り付けられているが、穴の開いた金属板で覆われているため、実質的に間接照明となっている。なお、この金属板は車両により青と黄色に塗られているが、当初の外部塗装に合わせたものとなっている。この灯具配置のため天井には車内照明はないが、沿線に生息するムササビの絵が描かれている。合わせて階段状の部分にはレンゲショウマが描かれている。空調は設けられていないが、夏期等には着脱可能な扇風機が取り付けられる。この他、ドアにはドアチャイムが取り付けられており、旧営団地下鉄と同じタイプの2音チャイムが鳴る。当初は2代目車両の塗装・愛称を引き継ぎ、それぞれ「日出」「青空」という愛称がつけられていたが、2014年に開業80周年を記念し現行塗装に塗り替えられ、合わせて愛称が「武蔵」「御岳」へと改められている。また、巻き上げ機も当初は既存のものを活用していたが、これは2016年に更新されている。このように現行車両に移行した後も種々の変遷を辿って現在に至っているが、現在も変わらず御岳山の足として活躍している。

 2016,09,19 滝 本


■Variation
 1号車を御岳山側から見る。形状は山麓側と然程変わりはないが、前照灯・尾灯がやや上を向いている。

 2016,09,19 御岳山
 2号車は赤基調の塗装となっており、「御岳」という愛称がつけられている。

 2016,09,19 滝 本
 当初塗装時の1号車。先代車両の塗装と愛称を引き継ぎ、山吹色を基調とした塗装で「日出」という愛称がつけられていた。。

 2014,04,19 滝 本
 旧塗装時代、御岳山側から見た1号車。滝本側と異なり、こちらは山吹色の一色塗装となっていた。

 2014,04,19 御岳山
 当初塗装時の2号車。こちらは水色を基調とした塗装で「青空」という愛称がつけられていた。

 2014,04,19 滝 本
2016/09/22