C11形
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 1994年よりC12形を使用して運転を開始した「SLもおか号」は好評を博し、大井川鐵道に次ぐ運転頻度(ほぼ毎週末)で運転を行うようになっていた。真岡鐵道では、この「SLもおか号」に使用されるC12形の予備機を導入することとなり、静態保存されていたタンク式機関車の中でも状態の良かった水原町立(現在の阿賀野市立)水原中学校に静態保存されていたC11形325号機を導入することになった。同機は1946年に日本車輌で製造されたもので、C11形の中でも製造工法が簡素化した戦時設計の4次型に分類される。落成からおよそ20年間は茅ヶ崎機関区に配置され、相模線等で運用にあたった。その後浜川崎を経て1967年に米沢機関区に転出し、1972年まで同機関区に在籍して主に長井線や左沢線で使用された。地方を跨ぐ異動は米沢に転出した一度のみで、そのまま1973年に廃車されている。廃車後は前述の水原中学校に静態保存され、以降20余年に渡って同地にとどまった。真岡鐵道への移籍に際しては、保存地からすぐに動態復元が行われたわけではなく、1996年3月に一旦真岡駅前まで移設し1年以上保存展示された後、1997年11月からJR東日本の大宮工場にて復元工事が開始されている。この復元に際しては、4次車で特徴的であった角形の砂箱と蒸気ドームが通常の丸形のものに交換されている。また、C12形と同様JR線での営業運転をにらみ、ATS-Snが新設されている。動態復元は1998年9月に終了し、真岡鐵道への引き渡し及び試運転の後、1998年11月より営業運転を開始した。以降、「SLもおか号」はC11形とC12形が日替わりで牽引を担うようになり、イベント等の特別運転では重連や向かい合わせに走行する変則重連も行われるようになった。尚、同機運用開始からほどなくして、C12形がNHK連続テレビ小説のロケに伴いJR北海道に貸し出されている。他社への貸し出しがその一度だけであるC12形とは異なり、このC11形は1999年5月の「SLもおか号」小山乗り入れ運転を契機に、度々JR東日本の各線に貸し出され、主にJR東日本の旧型客車を従えて出張運転を行っている。最も頻度の多い只見線をはじめ東北・信越地方を中心にSL列車の牽引にあたり、古巣といえる左沢線にも乗り入れている。真岡鉄道での復活後、20年以上に渡り同線やJR東日本の各線で使用された本機であるが、利用客の減少とSL維持費の増大等の理由により、2019年12月に真岡鉄道での運転を終了することになった。同機は東武鉄道が購入し、翌年に東武鉄道へ譲渡されている。東武鉄道では2020年12月より既存の207号機に加えてSL大樹の牽引機として運用を始めている。

 2014,04,12 茂 木


2020/12/27