HU300形
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 2023年8月に開業した宇都宮ライトレール「ライトライン」用の車両として2021年から翌年にかけて製造された車両である。形式のHUは沿線自治体の芳賀町と宇都宮市から、300の「3」は、3連接車体であることに由来する。宇都宮ライトレールは日本で初の全線新設型のLRTであり、車両導入にあたっては輸送力や登坂性能、路線の将来性などを考慮のうえで基本仕様が決定された。その結果、福井鉄道のF1000形をベースとしたブレーメン型の連接3車体構造とし、専用軌道における高速運転を見越して設計最高速度を70km/hとした。また67‰の急勾配区間において万一の車両故障時に車両を牽引できる程の登坂力を有しつつ、軸重を更に将来的にJRや東武線への入線を考慮し、軌間を狭軌の1067oとしている。車体はF1000形よりも2m程長い1編成当たり29.5m級となり、軌道法の限界ぎりぎりまでの車長とし、更にF1000形と同様の拡幅車体とすることで、乗車定員は160人となり、日本の路面電車車両としては最大級の車両となっている。モデルとなった福井鉄道F1000形と同様、全車両が新潟トランシスで製造された。車両デザインはGKインダストリアルによるものとなり、デザインされた3案の中から公募で決定されている。その結果、前頭部は大型ガラスを採用した流線形が強調されたデザインとなり、側面にかけて黄色が「L」の字をかたどるように配色されている。これはライトラインのロゴマークにも表れており、本形式を象徴するものと言える。駆動方式はF1000形と同じく車体装荷式の直角カルダン駆動で、制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御方式となっている。なお、電圧は福井鉄道が直流600Vであるのに対し、こちらは電気的損失等を考慮し直流750Vとなっている。車内はボックスシートを基調とし、優先席をロングシートとしたセミクロスシートとなっている。通常座席の背ずりに車体色と同じ黄色をあしらっているが、車内照明が間接照明であることもあり、全体的に落ち着いた印象の内装となっている。車椅子スペースが前頭部、フリースペースが中間車車端に設置されており、通路自体はフルフラットとなっている。車内案内表示器は扉鴨居部と天井部、車端部に液晶式のものが設置されているが、天井部の表示器は鴨居部のものより大きく、次駅案内のほか企業CMなども流されるようになっている。なお、カーテンはロール式で、宇都宮の伝統工芸である「宮染め」をイメージした仕上がりになっている。既存のLRVと異なり本形式には全ての乗降扉にICカードリーダーが設置されており、ICカードリーダーで乗車した場合はどの扉からも乗降が可能となっている。宇都宮ライトレール自体が当初2023年春に開業する予定であったことから2022年までには17本が出揃っており、習熟運転を経て2023年8月の路線開業時から一斉に営業運転を開始した。前述のとおり日本初となる全線新設型のLRTであり、今後の発展に期待がかかる。因みに開業時点での営業最高速度は軌道法に準じた40km/hだが、将来的に50km/h〜70km/hまで最高速度を引き上げ、更なる所要時間短縮が見込まれている。

 2023,10,16 宇都宮駅東口〜東宿郷


2023/12/04