第3次試験車「はるにれ」
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 札幌市交通局では札幌市営地下鉄の建設に先立ち、ゴムタイヤ式鉄道の走行試験を行うために、1964年に札苗実験場を設置し同所に軌道を敷設し走行試験を行った。「はるにれ」は同所における3代目の試験車両として1965年に川崎車輌で落成した。それまでの試験車は廃バスを改造したものであったが、こちらは新製されている。全長11mで、同時期の路面電車車両とマイクロバスを折衷したようなデザインとなっている。同時期に製造されていたA820形にもみられるように、側扉も含めて大型窓が採用されており、両開きの側扉を備える。この側扉はバスのように片側にのみ設置されていた。走行輪は前後のみならず車体中央にも1軸を備えた独特の配置で、前・後には案内輪も取り付けられている。動力はガソリンエンジンとなっており、直列8気筒のエンジンを2基備えていた(出力115PS)。車内は1人掛けの固定クロスシートとなっており、立ち客も想定し三角形状の吊り革も随所に設置された。この「はるにれ」では、冬期間における長期使用や高速走行等の諸条件下で走行試験が行われ、実用化に向けたデータ収集が行われた。同車による試験の後、1967年からは電化による走行試験が行われることとなり、第4次試験車「すずかけ」の落成を以て本車での試験は終了している。南車両基地内での保管を経て、現在は「すずかけ」と共に札幌市交通資料館に静態保存されており、その特徴的な姿を今に伝えている。

 2014,06,28 札幌市交通資料館


■Variation
 後部側については一般的なバスと似たような造形となっている。

 2014,06,28 札幌市交通資料館