1000形
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 1988年登場。9000形に代わっての地下鉄千代田線の乗り入れを含め、今後の小田急の標準車両となるべく開発された通勤型車両である。それまでの車両と異なり小田急の電車として初めて軽量ステンレス車体を採用し、2600形で試用されていたGTO-VVVFインバーター制御方式を初めて小田急で本格的に導入した点が特徴である。ステンレスの車体は光沢を減らすべくダルフィニッシュ仕様とされているが、前面のみFRPによって成型されており、8000形と9000形の特徴を兼ねそろえた前面となった。前述の通りGTO-VVVFインバーター制御方式を本格的に採用したが、他形式との連結運転が日常茶飯事となっていた小田急では運用の効率化を図るべく電気指令式ブレーキは採用されず、8000形に引き続き回生制動併用の電磁直通ブレーキを採用している。車内はロングシートで、内装は暖色系となり温かみのある車内となった。また、ラジオ用のアンテナ及び車内輻射装置を装備し車内でラジオを聴きやすくする工夫もなされている。尚、後年に増備された車両より車いすスペースや車内案内表示器、自動放送装置等の各種サービスが追加で導入されており、同一形式ながら内装には何度かの仕様変更が生じている。1000形は登場当時こそ千代田線への乗り入れには対応しなかったが、1990年からは千代田線への乗り入れが開始され、9000形の直通運用を全て置き換えている。尚、1990年にはラッシュ時対策としてワイドドア車両が製造され、同車では最前部幅1.5m、それ以外幅2mの大型ドアを採用してラッシュ時の乗降改善が図られたが、その結果があまり芳しいものではなかったために後年2000形と同一の幅1.6mに縮小されている。1000形は1993年までに196両が製造されており、1990年代における小田急の代表的な車両へと成長している。地下鉄乗り入れは4000形の台頭によって2011年には撤退したものの、2009年からは一部車両が配色変更の上で箱根登山鉄道への直通運用に充当されるようになるなど、本線系統での新たな活路を見出しつつ引き続き主力車両の一つとしての活躍が続く。尚、2014年からはリニューアル工事が開始されており、ワイドドア編成を除き施行される予定になっていた。ただし1本のみ8両固定編成を組んでいた1081編成(非ワイドドア編成)のうち6両が2020年に廃車されており、これが1000形初の廃車となった。その後ワイドドア編成の廃車も始まったが、リニューアルされていない一部の非ワイドドア車についても廃車が発生している。

 2008,09,02 大 和


■Variation
 10両固定編成を組む1000形は90番台に分類されており、1990年より製造が開始された。10連は全編成とも地下鉄乗り入れ仕様で登場し、分割運用には使用できないことから直通運用に重点的に使用された。4000形登場後もしばらくは直通運用に就いていたが、2011年を以て撤退している。

 2007,09,22 千歳船橋
 1990年に登場したワイドドアを装備する編成。当初より千代田線への乗り入れには対応せず、専ら地上線で使用された。特徴的な幅2mのワイドドアのみならず行き先表示器のLED化や車内案内表示器、相鉄でも見られるパワーウィンドウの設置など、それまでに見られなかったサービスを導入している点が特徴となっている。尚、一部編成では液晶ディスプレイが試用されたものの後に撤去されている。このグループは当初4連と6連が混在していたが、後に仕様統一の観点から編成替えがなされ、その際に一部車両の中間車化が施行された結果現在は6連6本の陣容となった。現在ワイドドア車は全車1700〜1900番台として区別されており、俗に「1700形」と呼称されることもある。

 2007,09,22 千歳船橋
 2008年3月ダイヤ改正から小田原〜箱根湯本間の各駅停車は小田急車4連を用いるものになっていたが、同区間専属の車両を用意すべく千代田線直通運用から撤退した1000形4連に白羽の矢を立て、2009年より同区間に充当させることとなった。これに合わせ、従来のステンレス無地にロイヤルブルーの帯が巻かれた従来の姿から一変し、箱根登山鉄道の車両に合わせた赤基調の外装となった。この姿の1000形は当初4連3本であったが、2012年に1本が追加で変更され、現在は4連4本の陣容となっている。専ら新松田〜箱根湯本間で使用されるが、稀に本線の優等運用に充当されることもあり、その際には新宿駅にも乗り入れる。また、2020年8月には箱根登山鉄道線の全線運行再開を記念し、本線系統の1000形と共通運用が組まれ江ノ島線や多摩線にも入線した。

 2015,07,11 小田原
 リニューアルの施された1000形。外装は帯色の変更に加え、前照灯のLED化、種別・行き先表示器のフルカラーLED化、空調装置の換装などが施されている。制御装置は刷新され、フルSiCを用いたVVVFインバーター制御装置が採用された。制動方式はそれまでの電磁直通制動から電気指令式に改められた。これに際し主幹制御器は左手操作型のワンハンドルマスコンハンドルに換装され、メーター類はグラスコクピットに改められた。また、モニタ装置は4000形と同じ車両情報管理装置(TIOS)が導入された。車内のイメージも大きく変わり、茶系の内装に瑠璃色基調のモケットが配された。車内案内表示器はLCDが各扉鴨居部に2基取り付けられ、開閉用ランプも設置されている。このリニューアルにあわせ一部編成は6連と4連を合わせた10両固定編成とされ、不要となった中間運転台は撤去され、通常の客室スペースに改められている。同時に車号も既存の10連編成の続番へと変更されている。

 2017,09,18 登 戸

2020/12/27