501形
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 1957年登場。戦前に製造された木造車両を置き換える為に製造された、実に29年ぶりとなる新型車両である。当時東京や大阪を中心に日本の大都市圏の路面電車において高性能車が導入され始めていたことから当形式もそれにならい、全金属車体及びカルダン駆動を採用した当時としては非常にハイスペックな車両となった。車両デザインは大阪市電3001形と南海11001系後期車を折衷した独特なもので、車体はオレンジを基調として下部に雲が描かれたことから「雲電車」の愛称が付けられ好評を博した。性能面では、路面電車では初採用となった空気バネ台車や電空併用ブレーキ、多段式総括制御方式など、当時の最新技術がふんだんに使用されておりこの車両に対する当時の南海電鉄の意気込みが伺える。尚、通常PCCカーは直角カルダン駆動方式を採用する事が多かったが、こちらは平行カルダン駆動方式を採用している。高性能ゆえに非常に高価な車両だったこともあり5両しか新製されず、その後の増備は同形ながら主要機器類を発生品から流用した351形へと移行した。1976年にワンマン化、1985年には阪堺電気軌道の車両として初めて冷房化もなされており、1987年の701形登場まではまさに花形車両であった。尚、冷房化と同時に運転上取り扱いが困難であった電気ブレーキについては取り外されている。2017年には全車とも製造から60年を迎えたが、行き先表示器のLED化やICカードリーダーの増設、補助ステップの設置などの変遷を経つつ現在も5両とも全て在籍しており、路面電車における黎明期の高性能車、所謂「和製PCCカー」最後の生き残りとして活躍している。

 2008,03,14 住 吉


■Variation
 501形も他車同様全面広告を纏う車両が存在する。因みに通常の雲塗装の車両に関しては2008年よりしばらくの間、登場から50周年を迎えたことを記念したステッカーが前面に付けられていた。

 2009,03,14 我孫子道
 行き先表示器がLED化された501形。351形と501形は、翌年4月に導入されるICカードの読み取り機を設置することに合わせて2013年秋より行き先表示器のLED化が施工された。現在は全車とも施工が終わっている。

 2014,09,14 住吉鳥居前
 2012年より赤と青の2に塗り替えられて「キン肉マン」のラッピングが施されている505号車。「新世界100周年キン肉マンプロジェクト」のPRの一環としての塗り替えであり、行き先表示器のLED化後もそのままの塗装となっている。

 2014,09,14 住吉鳥居前
 2017年に製造から60年を迎えた501形。還暦記念のヘッドマークが各車両に取り付けられている。501号車には円形のヘッドマークが付けられた。

 2018,02,11 帝塚山三丁目
 502号車は長方形のヘッドマークが付けられた。このように車両により異なるヘッドマークが付けられている。

 2018,02,11 帝塚山三丁目
 元号が令和に変わり、記念するヘッドマークが取り付けられた502号車。なお、351形と501形では2019年1月より乗降口に段差軽減用の補助ステップが取り付けられており、取り付けられた車両は「補助ステップ車」のステッカーが新たに張り付けられている。また、2018年以降に検査を受けた車両では、車番の表記が変更されている他、既存の「ワンマンカー」表示のプレートがなくなると共に、乗降口付近の窓に「入口」「出口」の表示が追加されている。

 2019,05,04 住吉鳥居前