6000形
トップページ鉄道写真図鑑長崎電気軌道>6000形
 6000形は2022年からアルナ車両で製造が開始された長崎電気軌道では最も新しい車両である。それまでの長崎電気軌道では3000形や5000形といった連接構造の超低床車を導入していたが、連接車はイニシャルコストが高く、経年車の置き換えにむけた積極導入が困難な状態であった。そこで同じ超低床車ながら全長12m級の単車とすることで、イニシャルコスト低減が図られた車両として本形式が開発された。アルナ車両が手掛ける超低床車である「リトルダンサー」の一形式だが、従来のリトルダンサーにおける単車がタイプSと呼ばれるもので、台車を車端部に寄せることで台車間をの床面を低床化したものだが、台車部分は段差が生じ、客室定員の減少といった欠点が生じていた。対してこちらは新たに開発された「タイプN」と称される車体構造を採用している。この「タイプN」は台車が車端部に寄っておらず、タイプX(鹿児島市電7500形)で採用された超小型主電動機と心皿の高さを抑えた小型台車を導入し、台車上部分を含め床面高さを450oまで抑えた完全超低床車となった。更に中央の乗降部に折り畳み式の渡り板が常設されており(渡り板使用時は床面高さが380oとなる)、車椅子やベビーカーでのスムーズな乗降に寄与している。台車部分も含めて完全低床を実現した営業用車両は本形式が世界初といえるが、その反面、機器配置の都合もあり座席は扉向かいに設置されている座席を除いて一段高い位置にロングシートが設けられており、乗降の際は完全ステップレスを実現したが、着席に際しては一段段差を上る必要がある。なお、一段高い部分は警戒色として黄色く着色されて識別されている。座席モケットは青基調で、帆船の帆、石畳、ステンドグラスと長崎の情景をイメージしたデザインが施されている。車椅子スペースは中扉付近に2か所設置され、その部分は折り畳み式座席となっている。因みに外装自体は直線基調であり、前面に傾斜を設けることで躍動感を表現している。制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御方式で、ブレーキシステムとして回生・発電併用のブレンディングブレーキが採用されている。これと小型化した走行機器類のおかげで、超低床構造と省エネ対策の両立が図られた。この6000形は2022年3月に営業運転を開始した。単行車ではあるが、連接車両と同じ低床車専用ダイヤでの運用が組まれている。なお、本形式の本来の外装はコーポレートカラーを明るくした若葉色「スプリンググリーン」だが、他の単車よろしく全面広告の掲載対象となることがあり、その際は広告に因んだ独自のラッピングを纏う。

 2023,09,23 大 橋


2023/12/02