300形
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 1953年登場。更なる大型車の導入による輸送力増強とサービス向上を目的に製造された、211形の増備車両である。211形と同じく全車とも日立製作所で製造されており、基本的な車両寸法は同車に準じるが、こちらは製造当初より前照灯が窓下に設置され、集電装置にビューゲルを採用し当初より手ブレーキを装備しないなど、各種のマイナーチェンジが施されていた。台車も211形とは異なるものが搭載されている。車内は一般的なロングシートだが、室内灯がそれまでの白熱灯から蛍光灯に変わるなど、車内においても近代化がみられる。300形は全10両の陣容となったが、1954年に製造された1両は他車と仕様が変わっており、アルミサッシや弾性車輪などの既存車両には見られない新機軸を採用していた。後年その新機軸の大半は他の車両に合わせられているが、長崎電気軌道の車両史に刻まれる車両であるといっても過言ではない。なお、同車より後に製造された車両はいずれも前・中扉配置となっており、前後扉配置で製造された車両はこの300形が最後となっている。ワンマン化改造は201形や211形よりやや遅く1973年以降1978年までに行われており、合わせて前面窓がそれまでの1段3枚窓から2段窓に変わっている他、集電装置がZ型パンタグラフに改められている。1984年以降は冷房化改造が施され、合わせて屋根の張り上げ屋根化・室内チューブランプの一般的な蛍光灯化、前面方向幕の大型・電動化、更には前面窓のHゴム固定化等の各種改造もなされている。これにより201形や211形とは形態的な変化が少なくなっている。その後も側面への電動方向幕の設置やICカードリーダーの設置等の変遷を経ているが、現在に至るまで1両も廃車は発生しておらず、製造から60年を経てなお主力車両の一翼としての活躍が続く。なお、310号車は2017年に水戸岡鋭治氏のデザインでリニューアルがなされ、特別仕様車「みなと」となった。

 2016,11,13 若葉町


■Variation
 前照灯がLED化された301号車。2018年より前照灯の換装が始まっている。

 2019,03,09 西浜町
2019/03/09