201形・202形
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 201形・202形は、1950年9月の本線大橋〜住吉間延長を前に、車両の増備と輸送力の増強の双方を図る目的で製造された車両である。それまでの長崎市電では4輪単車が用いられていたが、乗客増に考慮した結果同車は全長11m級の半鋼製2軸ボギー車体となった。ボギー車の導入は長崎電気軌道では初のことであり、形式の「200」も2軸ボギー車であることに由来する。前後扉配置や前面の3枚窓を含め、車体は西鉄福岡市内線で導入されていた車両に準じているが、集電装置は当初ポールを採用しており、前照灯は上部設置、方向幕は正面右側に設置されていた。それまでの4輪単車の制動が手ブレーキのみであったのに対しこちらは当初より自動空気ブレーキが採用され、手ブレーキも併用したが後に手ブレーキは撤去された。201形・202形は全10両が製造されたうち、奇数号車が201形、偶数号車が202形と形式が分けられており、201形は日立製作所、202形は日本車輌でそれぞれ製造されているが、それぞれの製造工場の頭文字を数字に当てはめ形式名としており(日立製作所は『ヒ』=1、日本車輌は『二』=2)、珍しい由来となっている。201形と202形では寸法は同じながらウィンドヘッダーの有無等に違いがあり、201形にはウィンドシルは取り付けられていない。また台車もそれぞれの車両工場で製作されたものを履いている。1969年からはワンマン化改造が始まり、合わせて前照灯の位置が窓下に移設、合わせて方向幕の位置が中央に設置されるなど、形態の変化が生じている。冷房装置の設置は後継車両より遅い1988年で、合わせて屋根の張り上げ屋根化や室内灯の蛍光灯への交換(それまでは白熱灯)、前面方向幕の大型化・電動化や前面窓のHゴム固定化等の各種改造が施されている。これにより外装としては211形や300形とほぼ同じ形態に揃えられている。その後車体側面にも行き先表示器が取り付けられる等の後天的改造を経ながら主力車両として活躍をつづけたが、老朽化もあり2013年以降廃車が発生している。ただし廃車された車両のうち、204号車は花電車に改造されており、206号車はブラジルのサントス市に譲渡され、動態保存されている。現在は201形・202形合わせて7両が在籍しており、他車に伍して活躍している。このうち207号車は2007年に「おでん電車」に改造されており、基本的に「おでん電車」等イベントでのみ用いられている。

 2019,03,09 浦上駅前


■Variation
 前照灯がLED化された202形。一般営業運転に就く車両の中では現役最古参の形式ではあるが、前照灯のLED化は例外なく施工されている。

 2023,09,23 浦上駅前
 日立製作所で製造された201形。202形とは台車形式が異なる他、尾灯がやや低い位置に設置されている点、ウィンドヘッダーがない点も202形との差異となっている。

 2019,03,09 浦上駅前
 207号車は2007年に「おでん電車」へと改造されており、外装は白と黄色を基調とした明るい塗装に変わっている他、暖簾が描かれたものとなった。車内も窓側に長テーブルを配し丸椅子を配するなど、ビュッフェ車両に近い内装へと大幅に変わっている。また赤迫方にはビールサーバーを設けており、「居酒屋列車」として使用できる。基本的にイベント等での使用で一般の営業運転には就かないが、ICカードリーダーは搭載している。2020年には内外装のリニューアルが施され、外装が赤を基調に窓周りを黒、ウィンドシルを中心に金色に塗装された姿に改められた。その後「シティクルーズあかり」という愛称がつけられ、引き続きイベント運用に使用されている。

 2016,11,13 浦上車庫
2023/12/02