新260系
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 2015年に近鉄から内部・八王子線を継承した四日市あすなろう鉄道では、既存車両の更新を行いサービス向上を図ることとなった。この更新に際しては、260系は内外装の全面的なリニューアルを施し、経年劣化した110形・120形は廃車し、車両を新造することでの対応となった。260系(モ260形及びク160形)については、車体形状こそ従来の260系の面影を残すが、原型をとどめない程の大規模な改造が施されている。側扉は大型化され、うち乗務員室寄りの扉は、より乗務員室に近い位置に移設された他、側窓は大型化され、固定窓及び内折れ式の2段窓の交互配置に改められた(いずれも似た形状となっている)。前照灯・尾灯はいずれも窓上に配置され、灯具類は全てLED化された。元々260系は正面に行き先表示器を備えていたが、その部分は社名を表示するのみとなり、実際の行き先は窓下に表示板を取り付けることでの表示となった。この点は後退しているようにも見えるが、側面にはLED式の行き先表示器を追設している。塗装は編成により異なり、第1編成がクリームと青のツートンカラー、それ以外は白と黄緑を基調に青いラインが間に配されたものとなった。車内はクロスシートだが、従来のものに比べて大型化し、掛け心地が格段に向上している。クロスシートにはハート形の手すりが設けられ、立ち客に配慮されている。座席モケットは四日市あすなろう鉄道のコーポレートカラーである緑基調(一般席)と青基調(優先席)のものが採用された。化粧板、床などのカラースキームはベージュ基調にまとめられている。また車内照明はLED灯が採用され、スリット板により半間接照明となり、電球色の色調とされたことで温もりのある車内を実現している。ワンマン運転用の機器類としては液晶型車内案内表示器が妻部壁面に設置され、更に乗務員室背後には両替機付き運賃箱も設けられた。本車両では内部・八王子線の車両としては初めて冷房装置が搭載された。冷房は床置き型で、ダクトを通じ天井の送風口から吹き出す仕組みである。モ260形5両とク160形3両についてはこのようにリニューアルが施されたが、中間付随車とク110形の代替車については前述のとおり車両新造にて賄われた。黒部峡谷鉄道を除くと、特殊狭軌線の新製は1990年以来となる。中間付随車はサ180形という形式がつけられ、リニューアル車と同型の車体となった。サ180形では側扉は1か所に集約されており、冷房電源用のSIVを設置している。制御車の新造車はク160形の続番が振られており、基本的にはリニューアル車と同様の外観・内装となっている。新造車とリニューアル車では車歴が30年以上開いているが、同一のコンセプトにより設計されているため、編成全体で統一感のあるものとなった。なお、リニューアルは近鉄の高安研修センター、車両新造は大阪車輌工業で行われている。この新260系は2015年9月より第1陣が営業運転を開始した。特殊狭軌線という厳しい車両条件ながら通常の鉄道車両と遜色ない車内環境を実現してサービス向上を図り、かつ車両新造を抑えたことによるコスト削減の取り組みが評価され、2016年にはローレル賞を受賞している。2019年までに全車とも更新が完了し、現在の四日市あすなろう鉄道はこの新260系の独擅場となっている。

 2019,05,05 日 永


■Variation
 中間付随車の置き換え用にあたるサ180形の全車とク110形の置き換え用にあたるク164号車、ク165号車の2両は、リニューアル車と同型の車体が新造されている。

 2019,05,05 日 永
 新260系の第1編成のみ、クリームと青のツートンカラーを纏っている。検査時に他編成と同じ塗装に統一されることが予定されていたが、人気を博していたこともあり塗り替えは取りやめられている。

 2015,11,23 西日野
2020/05/30