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ト1形は1912年までに名鉄の前身の一つである瀬戸電気鉄道が発注した2軸無蓋車である。現在の名自車体株式会社の前身にあたる名古屋電車製作所により製造され、34両の陣容であった。木造の古典的な無蓋車で、側面のあおり戸は中央で分割された2枚戸となっている。瀬戸電気鉄道は1939年に名古屋鉄道に合併されており、同形式も以降は名鉄の所有となっている。沿線が瀬戸焼など窯業で有名なことから、それらを輸送する貨物輸送の需要が高く、本形式を始め瀬戸市内の各駅から陶器類を積載し、大曽根及びその周辺の駅まで運送していた。本形式は国鉄線への直通も認可されており、大曽根を経由し各地までの陶器等の運搬にも用いられた。名鉄瀬戸線における貨物輸送は架線電圧の昇圧を控えた1978年までに廃止されており、貨物の縮小・廃止により余剰となった車両は一部が本線系統や揖斐線に転出した。なお、別途2両が1962年に長物車に改造されている。瀬戸線以外の名鉄各線からも1984年までには貨物輸送が全廃となり、他線に転出した車両も殆どが同年までに余剰となったが、ト14・ト15号車の2両のみ保線用途で揖斐線に残り、黒野検車区に常駐して揖斐線・谷汲線で主にバラスト輸送に用いられた。この2両は21世紀まで生き延び、結局揖斐線の廃線に際し運命を共にしている。ト15号車は除籍後貨物鉄道博物館に譲渡されており、同地で保存されている。
2019,07,16 貨物鉄道博物館 |